看護師という職業の実情は?

病院

医療関係職全般に言えることかもしれませんが、とりわけ看護師という職業は、昔から不況に強い安定職と言われています。果たして実態はどうなのでしょうか。
 

筆者は足かけ8年目になる看護師です。個人的感想として、この職業は、一般に言われるとおりの「安定職」ではあるからこそ足かけ8年、続けることができたとは思います。
 

今回私が、この記事を書こうと思い立った理由は、よくイメージされる看護師という職業の「安定性」の正体とは一体どのようなことであるかを明らかにすることで、看護師という職業の実情がわかりやすくなるのではないかと考えたためです。
 

「看護職=安定」と思われる3つの要因

それでは、一般的にどのような所が安定的であると思われている要因なのでしょうか? 
 

  • ①病院組織に勤めることができ、給料・福利厚生も期待ができる。
  • ②勤務先は全国どこにでもあり、さまざまな都合による転職にあまり困らない。
  • ③子育てなどの理由でブランクを作っても復職ができる。

 

世間からはこのような点が、安定職と見られる点ではないでしょうか。
 

一方で、私がこれまでに体験して、見聞してきた限りで、このような安定と考えられている要因の「実態」について掘り下げて考えてみたいと思います 。
 

看護師を続ける「モチベ」が育つかどうかは就職1年目に決まる

まず、「看護職=安定的」であることの裏付けとして「看護師として長く勤務する」ことが必要になります 。しかし、その「看護師という極めて責任の重い職業を将来末長く、継続して行こう」というモチベーションが育つかどうかの決め手は、ほとんどの場合、就職1年目に決まってしまうと言っても、決して言い過ぎではありません。
 

教育体制は、その病院・施設によって実にさまざまです。しかし、共通して言えるのは、就職1年目の時点で、しっかりと業務を遂行する上での疑問点や乗り越えなければならないさまざまな困難に、親身になって向かい合ってくれるような先輩・上司に出会うことができたかどうかで、その後の「看護師人生」が大きく変わると言えます。
 

また、先輩たちの働き方を見て、尊敬できるとまでは行かなくても、「自分もこのような看護師になりたい!」というモデルを、自分の心に一例でも持つことができたかどうかによっても、その後が大きく変わっていきます。
 

新人看護師時代に「力」がつけば、長く看護師を続けられる

基本的に人間の健康問題を業務の対象にしていますから、看護師という職業を続けている限り、予想だにしなかった困難や理不尽に直面することは避けては通れません。新人看護師のうちから、さまざまな困難を乗り越える基礎体力をうまく養うことができた看護師は、その後もそれらを乗り切る知恵がついていることでしょう。
 

また、新人看護師時代に、良い先輩につくことができた看護師は、「困難や理不尽」がどうしたら発生するか、ある程度「予測する力」が身についていることでしょう。このように、「基礎体力」や「予測する力」を安定して身につけることができた看護師ならば、たとえその後、子育てなどでブランクを作ったとしても、安定して看護師という職業を続けられるはずです。
 

つまり、そのような人たちにとっては看護師という職業が「安定職」と言えることになるのではないでしょうか。
 

なぜ「転職に困らない」と思われるのか

次に、看護師という職業が安定職と言われる要因の2番目に挙げた「さまざまな都合による転職にもあまり困らない」と考えられやすい要因について考察していきたいと思います。
 

もしかしたら安定職と言われるこの職業のイメージから、次のような軽い動機で転職ができる職業なのではないかと思われているかもしれません。
 

  • ①看護師の仕事の募集はいくらでもある。
  • ②「今の職場が嫌だから」「あっちの職場の方が、給料や環境が良さそうだから」という理由で転職ができる。
  • ③たとえ転職に失敗しても仕事がなくなるわけではない。

 

などが要因として挙げられるのではないでしょうか。
 

もちろん、しっかりとした目標や計画性を持った転職ならばとても良いことです。しかし自分の中にしっかりした基盤や考えも持たずなんとなくで、たとえば上記①~③にあてはまるような動機での転職はいかがなものでしょうか。
 

看護の職場を転々…転職を繰り返して「安定職」と言えるのか?

そもそも、そういった動機をもってしまう引き金は、転職に関する情報が氾濫しているからとも言えます。
 

たしかに、数ある看護師専門の転職エージェント会社の中には、むやみに看護師の転職がしたい欲求をあおり立てて、実際にはあまりマッチングしていない勤務先への転職を勧めてしまう会社も存在するのが実情です。また「一度や二度、転職に失敗をしても問題ない」として、「もっと良さそうな勤務先への転職」を勧める情報も、いくらでも目につきます。
 

しかし、自分の中にしっかりした基盤や考えも持たず、こうした情報の吸収を繰り返した結果、経歴には傷がついて行き、信頼性は下がり、だんだん望ましい勤務先への転職は難しくなっていきます。つまり、なかなか職員が居つかないような難ありの職場へしか転職ができないようになってしまいます。そういった例が珍しいことではないのも、残念な事実です。
 

このような状態に陥り、長くても半年ごとに職場を変えなければならないような状態になってしまっては、「安定職」であるはずの看護師という職業も「安定している」と言えないのではないでしょうか?
 

看護師の職業の安定性を担保するために必要なこと

以上、看護師は本当に安定職か?というテーマで述べてきました。
「安定職」と言われる看護師という職業の安定性とは、並大抵ではない精神的な「基礎体力」や「予測能力」の獲得が必要ですし、また安易に情報に流されない「基本的な賢さ」に裏付けられてはじめて成り立つものなのではないでしょうか。