フォルクスワーゲンの最新ディーゼルエンジン車がようやく日本に上陸した。コストを掛けて排ガス対策が施されているだけに、ガソリン車よりも割高な価格設定になっている。
輸入車首位の座から陥落したVWが最新ディーゼルエンジン車を投入へ
「ディーゼルゲート」と呼ばれたフォルクスワーゲン(VW)のディーゼルエンジン車の排気ガス不正問題。2015年に米国で発覚して以来、同年の「フォルクスワーゲン」ブランドの販売台数が落ち込み、日本でも16年ぶりに輸入車首位の座から陥落。日本には、ディーゼルエンジン車排気ガス不正問題の該当車種が1台も正規導入されていないにもかかわらず、受けたダメージは大きかった。
さらに、同問題が結果として世界的な「EVシフト」を加速させているという見方もある。
そんな渦中のフォルクスワーゲンが2月14日に発表したディーゼルエンジン車は、上級セダンとワゴンのパサート/パサートヴァリアントに設定されるもので、日本のポスト新長期排ガス規制をクリアした最新ディーゼルエンジンだ。
なお、フォルクスワーゲンでは、1977年から98年まで日本でもディーゼルエンジン車を導入していたため、20年ぶりの日本上陸となる。
日本のポスト新長期排ガス規制をクリア。その技術とは
ディーゼルエンジン車の排気ガスでは、PM(粒子状物質)とNOx(窒素酸化物)の除去が重要で、一般的にはPMを減らすとNOxが増える(その逆もいえる)というトレードオフの関係にあり、現在ではとくにNOxの除去がやっかいになっている。
パサート/パサートヴァリアントに搭載されている2.0Lのディーゼルターボエンジン(TDI)には、ディーゼルエンジン車に欠かせないコモンレール式燃料噴射システム(PM、NOx減)はもちろん、PMを燃焼、除去するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)、アドブルー(尿素水溶液)と呼ばれるSCR(選択触媒還元)システムによりNOx対策が施されている。さらに、こちらもNOxを減らす「EGR(排気再循環)システム」を搭載している。
ロングドライブをする機会が多いのならば「指名買い」を
ガソリンエンジン仕様のパサート/パサートヴァリアントから35万円高となるディーゼルエンジン車は、カタログ燃費とプレミアムガソリンと軽油の価格差だけで「元が取れるか取れないか」を語るのはナンセンスだろう。
ディーゼルエンジン車は、実燃費の良さとトルクフルな走りがある。高速道路などを使ってロングドライブをする機会が多いのであれば、指名買いする価値がある。