世界の空港で自動化ゲートやスマートセキュリティの導入が進む
世界各地の主要空港で、出国そして入国の際の手続きをよりスムーズにするため、最先端の技術が投入されている。チェックイン時のカウンター、出入国手続き、到着時のターンテーブルでの手荷物受取など、これまで多くの時間を要していたが、空港や航空会社のスタッフではなく利用者自ら手続きを行ったり、無人化した最新システムを導入したりすることで、いずれも所要時間の短縮に繋げている。
日本国内の空港でも、出入国の手続きで自動化ゲートやスマートセキュリティなどが導入され始めており、今後さらに増える見込みだ。
韓国の仁川空港、新ターミナルで最新の出入国システムを導入
東アジア最大の拠点(ハブ)空港、韓国・ソウルの仁川国際空港。2018年1月18日、既存の第1ターミナルに加え、新たに第2ターミナルが開業した。その新ターミナルは、入国まで20分、出国も30分ほどで完了でき、第1ターミナルと比べると約20分も短縮されると話題になっている。
まず、空港到着後の入国審査では、韓国籍の人向けに自動化ゲートを増やした分、外国人向けのカウンター数が増加し、従来の長い行列が減り、待ち時間も短縮。預けた手荷物を受け取るターンテーブルでは、新たな高速処理システムが導入されたのに加え、1レーンにつき2ヶ所から手荷物が分散して出てくるので、1ヶ所に人が集中して混雑することもなくなった。
一方、出国時のチェックインカウンター前に置いてある自動搭乗手続き(セルフチェックイン)機や自動手荷物預け(セルフバッグドロップ)機の設置数を第1ターミナルより増やし、チェックイン時のストレスを軽減。荷物検査やボディチェックなどの保安検査も、従来のX線でなく、金属と非金属の双方に対応する円形スキャナーによる超音波探知機が導入され、より短い時間で通過できるようになった。
シンガポールは「無人化」進む、香港は一部の旅行者も自動化ゲート
出入国手続きへの最新技術の導入は、日本を含む他の空港でも見られる。
シンガポール国際空港で2017年10月末にオープンした第4ターミナル。出発フロアには有人のカウンターがほとんどなく、セルフチェックイン機とセルフバックドロップ機が並び、基本的に自分で搭乗手続きや手荷物預けを行う。
そして、出国審査の時も、ゲートにあるカメラで顔写真が撮影され、パスポートとの照合、指紋認証で承認されるとゲートが開く仕組みだ。シンガポール国籍の人はもちろん、外国人旅行者も6歳以上であれば自動化ゲートが利用できる。保安検査ではノートパソコンやタブレットをかばんから取り出さずに検査できる装置、CT(コンピューター断層撮影)方式が採用されている。
また、香港国際空港では、香港在住や永住権などがない旅行者でも、1年で3回以上訪問していれば「香港特別行政区トラベルパス」、一部航空会社の上級会員などの資格があれば「フリークエント・ビジター・eチャネル」(e道)に登録できる。専用の自動化ゲートを利用できるため、長い列で知られる香港での出入国にかかる時間が大幅に短縮される。
日本でもスマートセキュリティや顔認証ゲートで所要時間短縮
出入国時の「自動化ゲート」は世界各国で普及が進み、日本では羽田、成田、関西、中部の各空港でも導入されている。出国前にあらかじめ空港などで利用登録しておくことが必要だが、一度登録するとパスポートの有効期限までずっと利用でき、出入国の列が混んでいても自動化ゲートの方は空いているということも多々ある。
羽田空港では2017年10月、日本人の入国手続きに顔認証ゲートが先行導入された。こちらは事前の利用登録手続きは不要。訪日外国人の増加に対応して日本人向けの手続きを合理化するためで、わずか5~10秒足らずで手続きが完了する。
さらに、出国時の保安検査では、2017年1月に開業した関西国際空港の第2ターミナル国際線で、日本初の「スマートセキュリティ」システムが導入された。欧米やオーストラリアなど一部の空港で導入済みで、3~4名が同時に並んでトレーに荷物を入れて通過し、その使用済みトレーが自動で戻る仕組みなど、保安検査での待ち時間を約30%短縮。その後、国内線のみの伊丹空港でも導入され、成田空港の第3ターミナルでも来秋の導入開始を目指して現在工事が行われている。