ベスト8敗退の意味
1月初旬から中国で開催されているアジアサッカー連盟(AFC)の23歳以下(U-23)選手権で、日本はベスト8に終わった。2年前の同大会では優勝を飾っており、今回も上位進出を期待されたなかでの敗退だったが、悲観することはない。
参加各国は大会の規定どおりに、23歳以下の選手でチームを構成した。それに対して日本は、21歳以下の選手でチームを編成した。22歳や23歳の選手を加えなかったのは、参加16カ国で日本だけである。森保一(もりやす はじめ)監督が率いる日本は、2年後の東京五輪に出場資格のある選手たちに経験を積ませる機会として、今回の大会を位置づけていたのだった(※)。
久保建英ら主力メンバーが出場せず
さらに言えば、主力が招集されていない。昨年のU-20W杯でゲームキャプテンを務めたDF中山雄太(柏レイソル)、16歳で同大会に出場したFW久保建英(FC東京)らは、17年シーズンに多くの試合や大会に出場したことから休養優先で招集されなかった。
昨夏からオランダでプレーするFW堂安律、今冬にJ2のアビスパ福岡からベルギーのクラブへ移籍したDF冨安健洋らも、招集の対象から外れていた。21歳以下の選手たちでも、ベストメンバーを組んでいなかったのである。
ちなみに、14年の今大会でも日本は8強に止まっている。しかし、アジアの戦いの厳しさを知った選手たちは、リオデジャネイロ五輪のアジア予選を兼ねた16年大会で優勝を飾ったのだった。
経験を積むことの「価値」
所属クラブで定位置をつかんでいる選手が、20歳以下の世代はまだまだ少ない。それだけに、今回のU-23選手権は個々の成長を促す狙いがあった。準々決勝で0-4の完敗を喫したウズベキスタンには、昨年12月にタイで開催された大会でもPK戦で敗れていた。同じ相手に連敗した悔しさも、チームが成長していく糧となるはずである。
U-21日本代表の次の活動は、3月の南米遠征となっている。パラグアイなどとの対戦が予定されているこの遠征から、主力と見なされる選手も徐々に加わっていく予定だ。東京五輪でのメダル獲得を目ざすチーム内競争は、これから本格化していく。
(※)五輪の男子サッカー競技は、W杯との差別化をはかる意味から出場資格を23歳以下としている。ただし、年齢制限のない選手(オーバーエイジ)を、3人まで出場させることができる。