YOKOHAMA NAVY BLUEの新型車両20000系!
首都圏を走る大手私鉄の中で唯一都内へ乗り入れていない相模鉄道(相鉄)は、念願の都心乗り入れを目指してJR線、東急線との直通ルートの工事を行っている。工事は相鉄・JR直通線が2019年度後半、相鉄・東急直通線が2022年度の完成を目指して着々と進みつつある。それに先立ち、相鉄・東急直通線で使用予定の新型車両20000系が、1月17日に報道陣に公開された。
相鉄の新型車両は2009年に営業を開始した11000系以来久々の登場で、滝澤秀之相鉄社長と相鉄のマスコットキャラクター「そうにゃん」に見守られて、車庫の中から報道陣の前に姿を現した。YOKOHAMA NAVY BLUE(濃紺色)というインパクトある外観は、9000系リニューアル車に採用されて好評だった塗装で、相鉄の新たなイメージカラーとなったものだ。
「待ってでも乗りたい」電車を目指す相鉄
10両編成の車内は、落ち着きのあるグレーを基調としたインテリアで、シートは汚れが目立たないようにランダムパターンを施した生地を使っている。また、ベビーカーや車椅子用のフリースペースを全車両に設けて優しさをアピールした。
さらに、優先席の一部にユニバーサルデザインシートを導入し、普通の座席より高さを上げることで高齢者の立ち座りを容易にするとともに、シートの下にスーツケースなど大型の荷物を収納できるようにした。この部分には荷棚はない。一般席の荷棚も透明な強化ガラスとして、明るく圧迫感のない車内となった。ドア付近の座席の仕切り板も強化ガラス製で、立ったままもたれて座っている乗客と接触しないよう工夫されている。
車内の照明は、朝や夜といった時間帯で明るさが変化する調色調光式のLED照明を取り入れた。面白いのは、相鉄線の特色といわれた「車内の鏡」を復活したことだろう。この「鏡」は、横浜駅に着く前にちょっと身だしなみを整えるのに利用してくれればとの粋な心遣いだったとのこと。このように、様々な面で優しさにあふれた車両といえる。
直通運転を開始すれば、他社の電車と比較されるのは間違いない。そうした中で個性を発揮し、相鉄の存在感をアピールすることに努めている。何本か電車を見送り、来るまで「待ってでも乗りたい」電車を目指しているという。早く都心に乗り入れる姿を見てみたいものだ。
直通ルートの要、新駅「羽沢横浜国大駅」の現状
その乗り入れ工事は、どのくらい進んでいるのだろうか? お披露目の後は、場所を移動して、直通ルートにできる羽沢横浜国大駅の工事の模様を報道陣に公開した。
新線は、相鉄本線の西谷駅で分岐し、地下トンネルを通ってJR東海道貨物線の横浜羽沢駅に隣接した羽沢横浜国大駅に至る。この駅は地下にあり、複線の両側に2面のホームができる。土木工事は終わり、目下電気関係の工事を行っている。ダークグレーを基調にレンガを取り入れたデザイン性のある駅とする予定だ。
JRや東横線と乗り入れ予定。ルートや今後の予定は?
羽沢横浜国大駅を出ると、行き先はJRに乗り入れる路線と東急線に乗り入れる路線の二手に分かれる。JR乗り入れルートは、貨物線と横須賀線(湘南新宿ライン)を経由して渋谷、新宿方面に進む。貨物線にはホームがないので、羽沢横浜国大駅の次の停車駅は武蔵小杉駅となる。
一方、東急線乗り入れルートは、地下で北進し、新設の新横浜駅、新綱島駅を通って日吉駅で東急線に合流する。その先の具体的な終着駅は未定だ。
今後の予定としては、20000系は2月11日より相鉄線内での営業運転を開始する。とりあえず1編成のみで、増備する前にJR直通用の車両製作に取りかかることになる。東急線直通用の20000系を先に造ったのは、相鉄と東急の規格に差異が多々あるためで、調整や習熟に時間がかかるためだという。ともあれ、今後ニュース性のある話題が増えること間違いなしの相鉄線の動向に注目したい。
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取材協力、ルートマップ&完成予想画像提供=相模鉄道