労働ビザの関係で移籍→移籍

日本代表ミッドフィールダーの井手口陽介が、J1リーグのガンバ大阪からイングランド2部のリーズ・ユナイテッドへ移籍した。現在進行中の2017-2018シーズンの後半戦は、スペイン2部のクルトゥラル・レオネサでプレーする。
イングランドでプレーする外国籍選手は、労働ビザの取得に厳しい条件がある。2016年夏にアーセナルの一員となった浅野拓磨は、労働許可が下りないためにドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトへレンタル移籍した(現在も同チームに所属)。
井手口がクルトゥラル・レオネサへ17-18シーズン終了までの期限付きで加入したのも、浅野と同じ理由からだ。のちに労働許可が下りることが判明したが、このときすでに両クラブ間で移籍の話がまとまっていたという。
代表への影響は?冬の移籍には成功例が
W杯をほぼ半年後に控えたタイミングの海外移籍では、代表への影響が囁かれる。新たに所属したクラブで十分な出場機会を得られず、コンディションが万全でない状況でW杯を迎えてしまう、というものである。
しかし実際には、移籍をプラスに転じたケースもある。
ドイツW杯を半年後に控えた2006年1月、大黒将志(現栃木SC)がガンバ大阪からグルノーブル(フランス2部)へ移籍した。初の海外挑戦ながらコンスタントに出場した彼は、W杯でそれまで同様のスーパーサブとして重用された。
4年後の南アフリカW杯を前にしたタイミングでは、本田圭佑がロシアのクラブへ移籍した。当時23歳だったレフティーはすでにオランダで実績を積んでいており、即戦力の期待を背負っていた。ピッチに立つことを最初から望まれた移籍であり、試合から遠ざかるリスクは小さかったものの、勝利に貢献できなければ先発落ちの可能性はもちろんあった。そのなかで目に見える結果を残し、6月のW杯につながる活躍を見せたのだった。
4年前のこの時期は、大迫勇也が海を渡った。2014年1月に鹿島アントラーズからブンデスリーガ2部の1860ミュンヘンへ移籍した彼は、シーズン後半の全試合に出場した。日本代表のセンターフォワード争いで序列を上げ、6月のブラジルW杯では2試合にスタメン出場した。
井手口のポジションは試合に出やすい
井手口にとってのプラス材料を探せば、プレースタイルがあげられるだろう。彼の定位置はボランチと呼ばれる中盤の守備的なポジションで、試合中の途中交代が少なくない。先発に定着できなくても、ピッチに立てる可能性は高いのだ。ボランチにとどまらずより攻撃的なポジションに適応できることも、クルトゥラル・レオネサのルベン・デ・ラ・バレラ監督には嬉しいはずだ。
移籍直後のリーグ戦ではメンバー外だったが、スペイン2部はW杯直前の6月上旬までリーグ戦がある。残り試合はまだ「20」もあり、ロシアW杯前に行なわれるJ1リーグよりはるかに多い。慌てずにじっくりと、チームに馴染んでいけばいいだろう。