東京都心から電車で1時間ほどの神奈川県の古都・鎌倉は、今まさに紅葉の見頃を迎えている。
鎌倉は、箱根や日光などの首都圏の他の観光地と比べると、紅葉の到来が遅いと言われ、例年、11月下旬から12月上旬に見頃を迎えることが多いが、今年はやや早く、11月27日に訪問すると、すでに見頃を迎えはじめている場所が多かった。
寺院建築と紅葉のコラボが楽しめる円覚寺へ
27日、最初に訪れたのは、「鎌倉観光の玄関口」と言われる、JR横須賀線の北鎌倉駅からほど近い円覚寺だ。円覚寺は、鎌倉五山第二位に列せられる、臨済宗円覚寺派の大本山だ。
駅の臨時改札口を出てすぐに目に入るのが、円覚寺総門に向かう石段両脇に植えられた、真っ赤に色付いた紅葉だ。石段を登りながら振り返ってみると、色付きがもう少しの木もあって、見事なグラデーションをつくり出している。
拝観受付を済ませ、境内に歩を進めると、山門の左手にある「選仏場」という茅葺き屋根の古建築と紅葉のコラボが美しく、さらに、境内奥の妙香池付近は、色付き半ばで、黄色からオレンジへと変化しつつある木が多かった。
境内最奥の仏日庵や黄梅院といった塔頭(たっちゅう)寺院が並ぶエリアは、これから色付く木も多く、まだ、しばらく秋の風情が楽しめそうだ。
鎌倉では比較的早く紅葉が訪れる源氏山公園へ
次に訪れたのは源氏山公園だ。鎌倉幕府を開いた源頼朝の先祖が、奥州の戦に赴く折に、源氏の白旗を立てて、勝利を祈願したことから、別名「旗立山」とも呼ばれる源氏山は、標高93メートル。頂上付近の広場には、源頼朝の銅像が立てられている。
源氏山は、日当たりが良いこともあるのか、鎌倉の他の紅葉の名所に比べ、例年、色付くのが早い。園内の数カ所に紅葉がまとまって植えられているが、いずれも、すでに最盛期をやや過ぎた色合いになりはじめており、源氏山の紅葉を楽しむなら、ここ数日内であろう。
鎌倉市内で、唯一ライトアップが行われる長谷寺へ
最後に訪れたのは、大仏と同じ長谷エリアにある長谷観音を本尊とする長谷寺だ。
長谷寺の境内は、山門を入ってすぐの池のあるエリアと、石段を登った先の観音堂をはじめとする諸堂が建ち並ぶ、やや標高の高いエリアに分かれている。
27日現在、下のエリアではすでに紅葉は見頃を迎えており、上のエリアは、これから見頃を迎える木も多く、もう少しの間、紅葉を楽しめそうだ。
長谷寺は、鎌倉市内で、唯一、紅葉の時期の夜間ライトアップを行っており、2017年は12月10日(日)まで実施する。ライトアップは、日没とともに開始されるが、昼間の拝観との入れ替え制ではないため、昼間の紅葉を楽しんだ後、そのまま境内にとどまり、ライトアップの開始を待つのもおすすめだ。
なお、長谷寺境内の休憩処「海光庵」は、16:00までの営業だが、寒い季節にピッタリな「長谷がゆ」のセット(800円)は、冷えた体を温めてくれた。
以上のほか、北東部の山あいにある瑞泉寺などは、鎌倉の中でも最も紅葉の訪れが遅いことで知られ、本格的に色付くのは、例年、12月に入ってから。これからでも、まだ十分に間に合うので、本格的な冬の訪れを前にした、一瞬の煌めきを楽しんで欲しい。