ロシアW杯で勝ち上がれるか。試金石となる試合だったが…
サッカー日本代表への現状の評価ははっきりした。
ロシアW杯で勝ち上がるのは、やはり難しい。
11月14日(日本時間15日早朝)に行われたベルギーとのテストマッチは、0-1の結果に終わった。
10日のブラジル戦に比べれば、見るべきところはあった。ブラジル戦のように序盤に失点をすることなく、守備の狙いもはっきりとしていた。
それでも、勝利はつかめていない。
数多くのチャンスを許すことはなかったが、日本の決定機も決して多くはなかった。短くまとめてしまえば、「守備はうまくいったが、攻撃はいまひとつだった」という内容である。もっと突っ込んで言えば、「相手に攻めさせてもらえるところはあったが、こちらは攻めさせるつもりがなかったのにやられてしまった」という表現が当てはまる。その結果が0-1だった。
主力の欠場したFIFAランク5位に見せつけられた力の差
ベルギーは正GKのクルトワと、エース格のエデン・アザールが出場していなかった。その他にも、レギュラークラスがスタメンから外れていた。ベストメンバーではなかったわけだが、それについては日本も同じである。本田圭佑、岡崎慎司、香川真司といった常連を選ばず、初代表の長澤和輝がスタメンで出場している。
主力の欠場がより大きなデメリットになったのはどちらなのかを、ここで論じるつもりはない。大切なのは、FIFAランキング5位のベルギーに力の差を見せつけられたことである。
W杯のグループリーグでは最低「勝点4」が必要…
ロシアW杯の組み合わせ抽選で、日本は最下位グループの第4ポット(※)に入ることとなった。4か国で争われるグループリーグの対戦相手は、いずれも格上ということになる。FIFAランキングが上というだけでなく、実力的にも日本を上回る相手が集まってくる。
(※W杯のグループリーグで戦う相手は組み合わせ抽選によって決まるが、抽選にはポットが使われる。ポットは今大会から10月発表のFIFAランキングをもとに原則上位8チームずつ4グループに分けられるようになった。ブラジル、ベルギーは第1ポットに入る。抽選では各ポットから1チームを選び、8グループに分けられる。グループリーグは各グループ4チームで戦う)
決勝トーナメントへ勝ち上がるには、少なくとも勝点4を確保したい。つまりは1勝1分1敗ということになるのだが、1勝を狙うのは第2ポットか第3ポットの国になるはずだ。“クルトワとアザールのいないベルギー”と同レベルの相手に。
そう考えると、ベルギー戦の結果は重い。最少失点で敗れたとしても、勝点は「0」なのだ。この日のベルギーなら少なくとも引き分けに持ち込めなければ、W杯のグループリーグ突破は見えてこない。
世界における現在地を確認する機会だった今回の2試合は、ロシアW杯で厳しい戦いが待ち受けていることをはっきりとさせた。誰もが予感していたことだが、現実は想像よりもさらにシビアだった。
ロシアW杯で、日本は何を目指すのか?
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のサッカーは、自分たちの良さを出すことにばかりとらわれず、かといって相手の特徴を消すことがすべてではない。バランスのとれた戦い方を目指している。
だが、このままでは「惜敗」や「善戦」が精いっぱいである。「それでもいい、そこから日本が目指すべき方向性が見えてくる」との考え方はあり、「どんな形にせよ、勝つことで得られるものはある」との考え方もまた成り立つ。
ロシアW杯で、日本は何を目指すのか。何を得ようとしているのか。「決勝トーナメント進出」や「上位進出」といった漠然とした目標ではなく、評価基準をはっきりとさせるべきある。それによって、戦術も戦略も変わってくるからだ。