ホテル「ファーストキャビン」が新ブランド。あの寝台列車とコラボも

上質なカプセルホテルで人気の「ファーストキャビン」とJR西日本とコラボレーションした1号店「ファーストキャビンステーション あべの荘」がオープン。夜行列車の個室をイメージし、寝台列車「トワイライトエクスプレス」のコンセプトルームもある。

寝台列車で旅する気分が味わえる「ファーストキャビンステーション」

JR西日本の福利厚生施設をリノベーション。玄関横には、大阪環状線や大和路線を実際に走行していた車両(221系)の車輪・車軸を展示 / 筆者撮影


カプセルホテルながらビジネスホテル並みの快適度で人気の全国チェーン『ファーストキャビン』が、新たなブランド「ファーストキャビンステーション」の1号店となる「ファーストキャビンステーション あべの荘」を、大阪市阿倍野区に10月28日に開業する。
 

「ファーストキャビン」初の鉄道がモチーフの宿泊施設。ロゴも通常の飛行機でなく鉄道となっている / 筆者撮影


「ファーストキャビンステーション あべの荘」はJR西日本の福利厚生施設だった築35年の旧安倍乃荘をリニューアル。そして、新ブランドでは「夜行列車の個室」をイメージしているのが大きな特徴だ。開業に先駆けて特別内覧会が先日行われ、施設内部が報道関係者に公開された。
 

列車の窓に見立てた黒いパネルなど、こだわりのデザイン

「キャビン」が並ぶエリアは“夜行列車の個室”のイメージで、他の施設とはデザインも異なる  / 筆者撮影


ファーストキャビンはこれまでもコンパクトながら宿泊やショートステイに十分な設備がそろったスタイリッシュな滞在空間をコンセプトに、飛行機のファーストクラス、ビジネスクラスをイメージした「ファーストクラスキャビン」「ビジネスクラスキャビン」を展開してきた。大浴場や女性専用エリアがある施設もあり、女性が1人で安心して利用できるなど幅広い世代に人気が高い。

「ファーストクラスキャビン」は広さ4.4㎡あり、黒いパネルは夜行列車の窓をイメージ。セミダブルサイズのベッド、32インチテレビなど必要な設備が揃い、キャビン内で立つことも可能 / 筆者撮影


今回のファーストキャビンステーションは「夜行列車の個室」をイメージし、それぞれのキャビンもリデザイン。木目調のパネル、夜行列車の車内から眺める窓に見立てられた黒いパネルなど、列車の旅を想起するしつらえとなっている。ロゴマークも通常の飛行機でなく、列車がモチーフだ。

フロントの前付近から窓の外にて庭園を望むことができる。庭園がある「ファーストキャビン」は初 / 筆者撮影


まるで夜行列車に乗って旅をする気分が味わえる。さらに、施設内に緑あふれる庭園もあり、都会の喧騒から離れ、落ち着いた佇まいの中でまるで別邸で過ごすかのようにのんびりできる。大浴場もあってアメニティも完備する。
 

「トワイライトエクスプレス」のコンセプトルーム、鉄道部品の展示も

2015年3月に引退するまで高い人気を誇った寝台列車「トワイライトエクスプレス」のロイヤルA個室を再現したツインルーム。シングルルームを加えた2室限定 / 筆者撮影


そして、通常の1名利用のキャビンに加え、施錠が可能で2人利用もできる「プレミアムクラスキャビン」も17室を設定し、ビジネスホテルと同じような感覚で利用できる。

コンセプトルームの宿泊者限定で、トワイライトエクスプレスのスリッパ(枚数限定)も提供する / 筆者撮影


中でも「トワイライト シングル」「トワイライト ツイン」は、大阪~札幌間の寝台列車としてかつて人気を博した「トワイライトエクスプレス」のコンセプトルーム。トワイライトエクスプレスのロイヤルA個室を再現し、車両を採寸して雰囲気を再現したほか、車内で実際に使われていた壁掛け照明、室内アート、スリッパ(枚数限定)などの調度品も用意する。「トワイライト シングル」「トワイライト ツイン」の予約は電話のみ受付。
 

ラウンジに飾ってあるランタンとメーターセット。いずれもかつて使用されていたものばかり / 筆者撮影


さらに、共用部分のラウンジには信号灯、メーターセット、SLナンバープレート、国鉄時代の車掌帽や客貨車製造銘板をはじめ、玄関横や庭には特急「サンダーバード」などの車輪と車軸なども展示するなど、鉄道ファンにはたまらない“お宝”も多く展示されている。
 

増えるカプセルホテル、JR西とコラボで“駅チカ”、全国展開も期待

「ファーストキャビンステーション あべの荘」のオープンを祝ってテープカットを行う関係者ら / 筆者撮影


ここ数年、ファーストキャビンをはじめとするカプセルホテル(簡易宿泊施設)が続々と登場している。厚生労働省の資料(衛生行政報告例の概況)によると、旅館業全体は施設数が年々減少する一方、カプセルホテルを含む簡易宿所営業は、2011年度の24,506施設から2015年度は27,169施設と820施設も増加。ファーストキャビンの広報担当者によると、全施設の稼働率は90%を超えているという。


ファーストキャビンでは、JR西日本と今回初めてコラボレーション。同社初の鉄道をモチーフに、「旅」をより強くしたブランドという。先に開業した羽田空港や関西空港の施設が人気であるのと同様、“駅チカ”も利用者にとっても絶好の立地であり、今後は西日本をはじめ、全国への展開拡大も考えているという。なお、今回のあべの荘に続き、JR和歌山駅に隣接する「ファーストキャビンステーション和歌山駅」も来年には開業予定となっている。
 

宿泊は5,900円から、ショートステイも利用できる

共用部分のラウンジは明るい雰囲気。壁はかつて駅でよく見られたレンガ模様で機関車の懐かしい写真などが飾られている / 筆者撮影


「ファーストキャビンステーション あべの荘」は、JR環状線天王寺駅東口から徒歩6分、大阪市営地下鉄御堂筋線天王寺駅から徒歩4分など。


利用料金は、ファーストクラスキャビンが宿泊6,800円/ショートステイ1時間1,000円、ビジネスクラスキャビンが宿泊5,900円/ショートステイ1時間900円、プレミアムクラスキャビンが1室あたりシングル12,000円~(ショートステイは設定なし) ※ショートステイは2時間より利用可能


【関連リンク】

ファーストキャビンステーションあべの荘|FIRST CABIN

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