再び謝罪…日本向け車両の出荷を停止
社運をかけた新型リーフの発売と重なるように発覚した日産自動車の完成検査工程の不備は、西川広人社長が19日に再び謝罪するという事態になっている。
これは、完成検査員に任命されていない作業員によって完成検査の一部が行われていたことが10月18日までに再び判明したもの。
振り返ると、9月18日の国土交通省による日産車体湘南工場への立入検査で指摘された完成検査工程の不正検査については、再点検や登録再開、121万台ものリコールなどが講じられていた。
しかし、その後も国内工場(追浜工場、栃木工場、日産自動車九州)で完成検査員に任命されていない補助作業員によって完成検査の一部が行われていたことが10月18日までに第三者を中心とするチームによる調査、そして社内調査において判明したという。
今回の再発覚により、日産と日産車体を含む全6工場で生産している国内市場向けの全車両について、完成検査業務・車両出荷・車両登録の停止を決定した。
具体的には、在庫車については、全国の日産販売会社の指定工場での再点検を検討。また、既登録車についてはリコール届け出を検討中で、対象台数は約34,000台(精査中/2017年9月20日~2017年10月18日製造)にのぼるという。
完成検査で不具合が見つかる可能性が低い!?
なぜ、再度社長が再び謝罪し、さらにブランドイメージを大きく損ねかねない不正検査が横行していたのだろうか。背景には、実際の現場では完成検査により不具合が見つかる可能性がかなり低いということもあるかもしれない。しかし、それでは危機感が足りていない。一方で、人員不足が横行の原因として指摘する向きもある。
完成検査員がどういった研修や技量を持っているかは、各自動車メーカーに任されているものの、「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」という国交省の指針がある。その指針を順守し、国交省に代わって自動車メーカーが完成検査をするからこそ、1日に何台もの新車をすみやかにラインオフできるわけで、決して不正をしていいというわけではない。
型式認定を得るまでのクルマは、自社の厳しい多様な試験をクリアし、生産ラインから出荷される。私は今回、不正が発覚した国内工場を過去に何度も取材をしたことがある。毎回、真摯な姿勢でクルマ作りがされていると実感させられるが、最後の最後でこうした問題が起きてしまったことは残念だ。