出雲駅伝は東海大が10年ぶりに優勝
10月9日、島根県出雲市で第29回出雲全日本大学選抜駅伝(出雲駅伝)が行われ、学生三大駅伝のシーズンが開幕しました。
今回の出雲駅伝では、2年生を中心としたメンバー構成で戦った東海大学が10年ぶり4回目の優勝を果たしました。昨年、すべての学生駅伝で優勝し、出雲駅伝2連覇を目指していた青山学院大学は2位に終わりました。
青学大の「黄金時代」は終わるのか?
出雲駅伝は学生三大駅伝のひとつに数えられています。もう一つは、11月5日に開催される全日本大学駅伝、さらに1月2・3日に開催される東京箱根間往復大学駅伝競争(箱根駅伝)があります。
2016年、学生駅伝を3冠するという偉業を成し遂げ、「黄金時代」を築いていた青学大を、今回の出雲駅伝で東海大が抑えたことで2017年の学生駅伝シーズンの勝負の行方が気になるところです。東海大学は全日本大学駅伝で14年ぶり2回目、箱根駅伝では初優勝を目指します。
箱根駅伝予選会は熱い戦いが繰り広げられるが…
盛り上がりを見せる学生駅伝シーズンですが、10月14日(土)には、箱根駅伝のレースを左右する、重要な大会「箱根駅伝予選会」が開催され、来年の箱根駅伝に出場する全20大学が決定します。
今年の箱根駅伝予選会には、箱根駅伝で惜しくもシードを逃した帝京大学や山梨学院大学など、計49チームが出場し、陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、ゴールは国営昭和記念公園という20kmのコースで行われます。
各大学10~14名までの選手を登録、本番は10~12名が出走し、上位10名の合計タイムを争います。合計タイム上位10大学は来年の1月2日、3日に行われる箱根駅伝本大会への出場権を獲得します(ちなみに今年の箱根駅伝の1~10位となった10校はすでにシード権を獲得し、出場を決めています)。
過去の予選会では、予選通過ボーダーラインから1秒差で本大会出場を逃すケースがあったり、歴代の箱根駅伝優勝校や常連校が落選したりと、毎年熱い戦いとドラマが立川の地で繰り広げられています。
2017年の予選会に出場する注目校は?
・中央大学
箱根駅伝最多優勝の記録を持つ名門も、前回は予選会を突破できず、箱根駅伝連続出場は87回で途絶えました。今年度はトラックシーズンの記録、全日本大学駅伝予選会の成績は昨年度より上向きです。藤原正和監督、舟津彰馬主将(2年)体制2年目の今季、まずは箱根駅伝出場を狙います。
・筑波大学
筑波大は1990年代までは常連校でしたが、この20年近くは出場できていません。そんな古豪は復活をかけて「箱根駅伝復活プロジェクト」を始動。クラウドファンディングを駆使して資金調達を行い、合宿実施や栄養面でのサポートを受けるようになりました。OBでもある弘山勉監督就任後、着実に力をつけており、今季は14年ぶりに全日本大学駅伝の予選会にも出場を果たしました(結果は19位)。ピーキングが合えば台風の目になる可能性もありそうです。
新エースは誕生なるか?個人注目選手はこの2人
前回の予選会では神奈川大学の鈴木健吾選手(当時3年)が日本人トップ(さらに、日本人歴代2位の好記録)となり、本大会でもエースの集う2区で区間賞を獲得し、大きなインパクトを与えました。個人の争いも、箱根駅伝本番を占う意味でも注目ポイントと言えます。
ここでは注目選手を2人、紹介します。
・近藤秀一選手(東京大学3年)
静岡県出身で、サッカーの内田篤人選手は中学校の先輩にあたります。今季は東京マラソンで2時間14分13秒、日本インカレ10000m14位など好成績を残しました。前回、前々回と関東学生連合に選出されながら、本大会を走ることができませんでした。もし近藤選手が次の箱根駅伝を走ることになれば、2005年に関東学連選抜の8区を走った松本翔選手(当時1年)以来の「東大生箱根ランナー」となります。
・上田健太選手(山梨学院大学4年)
山梨県出身。中学時代から活躍してきた選手であり、現4年生世代を代表する選手と言えます。上田選手にとっては初めての予選会出場となりますが(過去2年はシード権を獲得しており、1年次は予選会で走っていないため)、ハーフマラソンの実績もあり、上位候補として期待される選手。9月に行われた日体大記録会(10000m)では、自身の記録を狙うよりも、きつそうな仲間を鼓舞しながら走っていました。
なお、父の上田誠仁さんは山梨学院大の監督。親子の共通の趣味は映画で、一緒にジョギングしながら映画の話をすることもあるそうです。