恋ダンスのYouTubeアップ、今後は動画削除に
新垣結衣さんと星野源さんが主演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌「恋」に合わせて踊る「恋ダンス」が流行しました。ビクターエンタテインメントはドラマ放送中に限って一定の条件を満たせば恋ダンスを披露してYouTubeなどにアップロードすることを認めており、色々な方が動画を公開していたのですが、このほど、同社より、今年の8月末でこれらの動画を順次削除していく方向性が公表されました。
そこで、著作権やYouTube等動画共有サービスを利用するにあたっての注意点をコメントします。
著作権とは何か
著作物とは思想または感情を創作的に表現したものをいいます。著作物といっても幅広く、小説等の言語、音楽、ダンスなどの舞踊、絵画などの美術といった様々な物が対象となります。著作物には著作権が認められます。著作権が認められると、著作権者が自身の著作物を利用することができる権利が認められ、その反面として他人が無断でその著作物を利用することが禁止されます(他にも認められる権利がありますが、省略します。)。著作権の具体的内容は、著作物の利用形態に沿って著作権法で定められています。具体的には、複製権、上演・演奏権、上映権、公衆送信権、口述権などです。
「恋」や「恋ダンス」も著作物
「恋」は音楽著作物ですし、「恋ダンス」もダンスの振り付けが舞踊の著作物となります。
したがって、例えば、星野源さんが歌う「恋」を著作権者に無断でYouTubeにアップロードすれば、公衆送信権侵害(厳密には送信可能化権侵害といいます)となりますし、自ら「恋」を歌った動画、又は「恋ダンス」を踊る動画をアップロードする場合も同様です。
YouTube等の動画共有サービスを利用する場合に気をつけること
YouTube等の動画共有サービスは、世界に伝えたいことを発表することのできる素晴らしいツールです。しかし、著作権との関係で気をつけるべきことがあります。YouTube等の動画共有サービスにアップロードするのは、著作権法上で送信可能化行為ですから、著作権法で保護される著作物をアップロードする場合、著作権者の承諾がない以上違法となります。これは先ほど述べた通りです。
しかし、そもそも、どのような行為が著作権に触れるのか専門家でもない限り判断するのは難しいように思います。この点、YouTubeの場合、次の種類の作品が著作権の対象であるとアナウンスしています。アップロードする場合は、こういったものを参照しながら行う必要があります。
テレビ番組、映画、オンライン動画などの音声と映像の作品
サウンド レコーディングおよび楽曲
講義、記事、書籍、楽曲などの著作物
絵画、ポスター、広告などの視覚的作品
ビデオゲーム、コンピュータ ソフトウェア
劇、ミュージカルなどの演劇作品
アイデア、事実、プロセスは著作権の対象ではありません。著作権保護の対象となるには、創作性があり、さらに有形媒体に記録されている必要があります。名称やタイトルそのものは著作権保護の対象ではありません。
ただし、先ほど、「恋」を自ら歌った動画をアップロードするのも違法と述べましたが、YouTubeの場合は、JASRACとの取り決めにより自分で楽曲を演奏したり、JASRAC管理楽曲については歌ったりする限りの動画のアップロードであれば許される扱いになっています(ただし、様々な条件がありますので、JASRACのホームページ等で必ず確認して下さい)。