Jリーグ2017夏の移籍、注目選手は?上位進出には「〇〇〇」も大事

Jリーグ各クラブが、新戦力の補強に動いている。シーズン中のこの時期に、新たな選手を獲得する狙いとは? なぜこの時期に、選手がまとまって動くのか? 夏の移籍のオモテからウラまでを、分かりやすく解説する。

移籍できるのは基本的に年2回

サッカーの選手登録には、国際的に定められた期間がある。いわゆるオフシーズンが第1登録期間で、シーズン中が第2登録期間だ。今年の第2期間は7月21日から8月18日までで、Jリーグ各クラブは後半戦に向けて戦力整備に走った。
 

シーズン中の選手補強は、クラブにとって“臨時の出費”だ。あらかじめそのための予算を確保していても、ひとまず赤字覚悟で補強に踏み切るケースも少なくない。J1からJ2へ降格したことによるリーグからの配分金やスポンサーの減少に比べれば、痛みを伴ってもJ1に踏みとどまったほうがいいからである。
 

J1からJ2へ降格すると、分配金はざっと2億円減る。それならば、第2登録期間に1億円を使ってでも残留を目指すクラブがあってもおかしくないだろう。
 

動きが活発なのは下位チーム

そういった背景から、夏の補強は下位クラブに集中する傾向にある。J2降格となる16位から18位のチームだけでなく、降格圏に近いクラブも浮上に手を尽くしている。
 

5月下旬から10戦勝利なしで最下位のアルビレックス新潟は、同じJ1のサガン鳥栖からMF小川佳純とFW富山貴光を獲得した。小川は10年に名古屋グランパスでJ1優勝を経験した32歳で、富山は大宮アルディージャでプロデビューした26歳だ。また、J2のザスパクサツ群馬に在籍経験のあるブラジル人FWタンキ(23歳)も加入している。
 

17位のサンフレッチェ広島は、ガンバ大阪から日本代表経験のあるDF丹羽大輝(31歳)と、ブラジル人FWパトリック(29歳)を迎え入れた。さらにFC東京との契約が満了したオーストラリア代表歴を持つFWネイサン・バーンズ(29歳)も、攻撃陣に加わっている。2012年、13年、15年とJリーグを3度制した名門は、実力派の即戦力の補強で降格圏から抜け出そうと必死だ。
 

外国籍選手の路線を変更したのは、16位の大宮アルディージャだ。ここ数年は東欧出身の選手が多かったが、今夏の移籍ウインドーで外国籍選手を思い切って入れ替え、ブラジル人選手で固めた。韓国Kリーグで実績を積んだFWマルセロ・トスカーノ(32歳)と、ボール奪取力に優れたカウエ(28歳)が、このところスタメンに名を連ねている。それまで所属していた東欧出身の選手は、他クラブへ移籍していった。
 

「タイのメッシ」もJリーグに参戦

タイのメッシ
“タイのメッシ”と呼ばれるMFチャナティップ

大宮に勝点1差に迫られている15位の北海道コンサドーレ札幌は、昨年までJ1のジュビロ磐田に在籍したFWジェイを攻撃陣に加えた。イングランドからやってきた35歳は、190cmの長身を武器とする。また、“タイのメッシ”と呼ばれるMFチャナティップ(23歳)が、攻撃に変化をもたらしている。
 

札幌と勝点5差で13位の清水エスパルスは、MF増田誓志(32歳)をメンバーリストに加えた。Jリーグの盟主・鹿島アントラーズでプロとなった彼は、国内外のクラブを渡り歩いてきた経験豊富な選手だ。移籍発表直後のリーグ戦でいきなり途中出場しており、J1復帰1年目のクラブで存在感を発揮していきそうである。
 

浦和は守備の立て直しを急ぐ

J1残留にエネルギーを注ぐクラブと異なり、上位陣に動きは少ない。
 

例外的なのは浦和レッズだろうか。失点が多い現状を改善するべく、DFマウリシオ(25歳)を補強した。ブラジル生まれの彼は、ポルトガルのクラブでプレーしてきた。
 

昨季のJ1で最多勝点を記録したJリーグ屈指のメガクラブに、10勝3分9敗で8位という成績はふさわしくない。ディフェンスを立て直すことで、優勝戦線へ浮上したいところだ。
 

同じことはヴィッセル神戸にも言える。2ステージ制だった昨年は、シーズン後半戦にあたる第2ステージで2位と躍進した。年間順位でも、過去最高の7位に食い込んだ。
 

ポルディ
7月末から神戸に加入したFWルーカス・ポドルスキ。初出場した試合で2得点し勝利したが、その後の結果は振るわない

ところが、タイトルを射程圏としたはずの今年は、ここまで11位に止まっている。7月から元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(32歳)を迎えただけでなく、両親の母国オランダで結果を残してきた日本代表歴のあるFWハーフナー・マイク(30歳)も加わっている。このままでは終われないだろう。
 

補強と同じくらい大切な監督の手腕

すでにJリーグを知る選手や実績のある選手が夏の移籍を賑わすのは、どのクラブも即効性を求めるからに他ならない。ただ、新たに選手が加われば、スタメンやベンチ入りメンバーから弾かれる選手もいる。そうした状況でもチームのまとまりを保ち、なおかつ新戦力が活躍するには、監督のリーダーシップが欠かせない。
 

チームの一体感が表れるのはゴールの直後だ。得点した選手がベンチへ駆け寄り、控え選手や監督と一緒に喜びを分かち合っていれば、そのチームはまとまっていると言える。
 

Jリーグの後半戦では、新加入選手のプレーに目を凝らしつつ、ゴールを奪ったあとにも注目してほしい。リーグ優勝にせよ、J1残留にせよ、何かをつかみ取るチームは例外なくまとまっているものだ。

(順位、成績は8月13日・22節終了現在)

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • AIに負けない子の育て方

    多様化する中学受験…実施校が爆増した「新タイプ入試」「英語入試」に受かるのはどんな子か

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    日本人には日常すぎて衝撃! 外国人が「最高に素晴らしい!」と称賛する日本のいいところ厳選3

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた

  • 「婚活」の落とし穴

    「男らしさ」がしんどい若者たち。「女性より稼いで当然」「デートもリードすべき」と言われても