オランダやノルウェーでも動きあり?
ここ数年、欧州では将来的にガソリンエンジン、ディーゼルエンジン車を禁止するという動きが加速している。2016年にはドイツで、今年に入ってからフランスで、そして7月末になってイギリスも続いた。
「いつまでに」というのは、2030年だったり2040年だったりまちまちではあるが、ほかにもオランダやノルウェーでも2025年以降、ガソリンエンジン(ディーゼルエンジン含む)車の販売を禁止するという動きもあるという。その背景には何があるのだろうか?
欧州各社が推進してきたディーゼルエンジン戦略が変わる
1997年12月に初代プリウスが誕生して約20年、トヨタがハイブリッドに注力してきた一方で、欧州勢はディーゼルエンジン車を売りまくってきた。
しかし、年々厳しくなる排出ガス規制をクリアするには、とくにディーゼルエンジン車には膨大なコストが必要だ。ボルボが2019年以降に発売する新型車を電動化する(プラグインハイブリッド車含む)と発表したのは、確かに思い切った戦略だが、欧州各社が急速にEV化を推進しているのは事実。
とくに、やり玉に挙げられているのがディーゼルエンジン車だ。ディーゼルエンジン車はガソリンエンジン車よりも燃費がいい(=二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない)一方で、有害物質である窒素酸化物(NOx)、PM(粒子状物質)の排出を抑えるのが課題。
フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン不正問題、メルセデス・ベンツのディーゼルエンジン不正疑惑も排出ガスに含まれるNOxがネックになっている。
NOxが一因とされる大気汚染がロンドンやパリ、マドリード、アテネなどの都市部で深刻化していて、ディーゼルエンジンの課税引き上げや通行料金を高くするなどしているほか、パリではすでに、1世代前の「ユーロ5」規制対応のディーゼルエンジン搭載車が市内から締め出されている。
電動化車両普及の課題とは?日本が遅れをとる可能性も
地球温暖化を含め、大気汚染の急速な悪化がディーゼルエンジン、ガソリンエンジン車の販売禁止につながっているのは確かだが、課題は多い。EVやPHVのコスト低減をはじめ、EVの航続可能距離、充電インフラの整備などだ。ほかにも、「ウェル・トゥ・ホイール(油田からタイヤまで)」を考えたときの発電コスト、環境への影響も解決はできていない。
EVがローカル(走行中は)では、「ゼロエミッション」になっても石炭を燃やして発電した電力で走ったのでは意味が半減するどころか、場合によってはより環境負荷が高くなってしまうという論点もあり、課題だ。再生可能エネルギーなどで発電する試みも始まっているが安定した電力供給という問題もある。
中国でも深刻な大気汚染問題を背景に、ビジネス的にも次世代自動車はEVと見定めることで、次世代自動車で主導権を握ろうとしている。日本勢も持てる技術と英知を集結しなければ、欧州勢だけでなく、安価な小型EVでは中国勢にも手が届かなくなる可能性だってある。