車内に置き去りにされた子どもが熱中症で亡くなる…
真夏の車内に子どもを置き去りにして、熱中症で亡くなるという悲惨な事故や事件が毎年のように起きてしまっている。2017年に入っても同様の事故、事件が起きてしまったが、なぜこのような不幸なニュースが続くのだろうか。
ドライバーが予期しないドアロックに要注意
筆者も小さな子どもが2人いるが、「ちょっとなら大丈夫だろう」という慢心が親にあるのかもしれない。ドライブ中に子どもが寝てしまい、保護者が1人ならトイレなどに行く際にエンジンを切ってしまうはず。ドライバーがキーを持っていれば予期せぬドアロックは回避できるが、それが「ちょっと」にならなかった場合、あるいはドアがロックされてしまった際は、取り返しがつかなくなってしまう可能性もある。
クルマのキーを子どもに渡しておいて「後から来るように」といった事例もあるが、子どもがロックを解除できない可能性もあるし、チャイルドロックの作動により車内からドアが開けられなくなる場合も考えられる。
子どもが車外に飛び出さないようにするチャイルドロックの解除スイッチは、インパネ(運転席)下側など、後席にいるはずの子どもの席から通常届かない位置にある場合が多い。
誤ってロック操作して閉じ込められる例が多い
さて、長くなったがこうした事例は毎年どれくらいあるのだろうか? 2016年8月1日~8月31日の1か月間、JAFが出動した「キー閉じ込み」の救援のうち、子どもやペットが車内に残されたままであったケースは全国で310件もあったそう。緊急性が高いと判断し、通常の開錠作業ではなくドアガラスを割るなどして車内の子どもを救出したケースは30件に上っている。
どうして閉じ込められたのか? 原因は「子どもが誤ってロックを操作した」というものが多い。
なお、ペットが運転席から外に出た飼い主を追いかけ、運転席の窓にあるドアロックノブ(集中制御ロック)を押してすべての鍵が閉まってしまうことがあるとのこと。つまり、意図的な子どもの置き去りはさすがに少ないようだ。それでは、車内温度はどれくらいまで上がるのだろうか?
真夏の車内は、エンジンをきって15分で危険な状態に
2012年夏にJAFが実施した車内温度の検証テストによると、気温35℃の炎天下に駐車した車内の熱中症指数は、窓を閉め切った状態でエンジン停止後、わずか15分で人体にとって危険なレベルに到達。
エアコンが切れた車内は、最近普及しているアイドリングストップ車(燃費のためエアコンではなく送風になる車種が多い)で信号待ちなどのわずかな間でも不快な思いをするだけに、送風も止まってしまうエンジンオフ時に車内にいるのは非常に危険。
とくに、乳幼児は体温調節機能が未発達で注意が必要で、高齢者も体温調節機能が低下するため要注意だ。JAFでは子どもや高齢者、ペットなども車内に残してクルマを離れることは決してしないように、強く注意を呼びかけている。