2017年の「土用の丑の日」は7月25日と8月6日
2017年の「土用の丑の日」は2回あり、7月25日と8月6日が該当します。スーパーや百貨店での「うなぎ商戦」も本格化していますが、そもそもなぜ「土用の丑の日」にうなぎを食べる習慣があるのでしょうか。
和文化研究家の三浦康子さんがAll Aboutの『2017年「土用の丑の日」はいつ?なぜうなぎを食べる?』『土用餅!? 鰻だけじゃない、土用の食べ物と風習』で以下のように解説しています。
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うなぎだけじゃない?土用の丑の日の「食い養生」とは
三浦さんによると、日本には古くから、季節の変わり目にさまざまな禁忌や風習があったといいます。特に夏の土用は梅雨明けや二十四節気の大暑と重なるため、湿気をとるような風習や、暑さを乗り切るために体にいいものを食べる「食い養生」をすることで夏バテを防止するような習慣が伝わっています。
土用の丑の日に、厳しい暑さを乗り切るために体にいいものを食べる「食い養生」としては、うなぎ以外にも伝わっているものがあります。三浦さんは以下のものを挙げています。
■土用の丑の日にちなみ「う」がつく食べ物
- うなぎ(うなぎを食べるようになった理由や特徴はこちらで解説)
- 梅干し(クエン酸が疲れをとり、食欲を増進させる)
- 瓜(夏が旬の瓜類は栄養価が高く、体の熱をとり、利尿作用でバランスを整える)
- うどん(さっぱりとして食べやすいため、暑い中でも食が進む)
■そのほかにも伝わっているもの
- 土用餅(あんころ餅。お餅は力餅、小豆は厄除けに通じるため、暑さに負けず無病息災で過ごせる)
⇒土用餅のレシピ『暑い夏を乗り切る!土用餅』 - 土用しじみ(栄養価が高く、肝臓の働きを助けることから「土用しじみは腹薬」と呼ばれる)
⇒しじみを使ったレシピ『栄養も旨みもたっぷり! しじみの味噌汁』 - 土用卵(栄養価が高いため、うなぎと同じように精がつく食べ物とされる)
うなぎを食べる風習はどうして生まれた?
三浦さんによると、『万葉集』に大伴家持が痩せこけた知人の夏痩せ防止にうなぎを勧める歌があり、古くからうなぎが滋養強壮に効く食べ物として注目されていたことがわかっています。
こうしたことを江戸時代の蘭学者・平賀源内が夏場の営業不振に悩んでいた鰻屋に助言し、土用の丑の日=うなぎブームが広がったという説が有名ですが、真偽は定かではありません。
うなぎは夏バテ防止にぴったり
夏は食欲が落ち、どうしてもさっぱりした食べ物に傾きがちですが、三浦さんによると、うなぎは疲労回復に効くビタミン類やエネルギー源となる脂質をたっぷり含むため、夏バテ防止にはぴったりだといいます。また、こうした夏バテ防止以外にも、風邪の予防、滋養強壮などに効果的です。
「ちなみに、1年中出回る養殖ものが夏の土用ニーズを満たしており、天然物は産卵に向けて脂ののった秋が旬です」(三浦さん)
「食い養生」だけではない!土用の丑の日の風習
土用の丑の日には、食べ物に関するものではない風習も伝わっています。
- 土用の虫干し
梅雨で湿った衣類、書物、調度品などを風にあてて陰干しすること。 - 丑湯
土用の丑の日に桃の葉などの薬草を入れたお風呂に入ることで、疲労回復と無病息災に。
土用の丑の日の風習は、それぞれ蒸し暑い日本の夏を乗り切るための「先人の知恵」といえます。私たちもそれぞれの生活スタイルに、日本ならではの風習を取り入れてみることで、本格的な夏に備えてみてはいかがでしょうか。
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