ユニークな「機内安全ビデオ」が増加中!航空会社はあの手この手

飛行機の出発前に「機内安全ビデオ」が流れるのは定番。ただ、その内容はやや単調になりがちだ。乗客にしっかり機内安全ビデオを見てもらうため、ユニークな内容で制作する航空会社が増えている。ハリウッド映画とコラボするなどさまざまな工夫が見られる。

思わず見入ってしまう機内安全ビデオ 先駆けはニュージーランド航空

飛行機の出発前に機内で放映される「機内安全ビデオ」が最近、ユニークで趣向を凝らした内容で紹介する航空会社が増えてきている。定形パターン化しつつある機内安全ビデオの内容が変わってきた理由として、毎回しっかり見て知ってもらいたいという航空会社の意図がある。
 

ユニークな機内安全ビデオが普及し始めた先駆け的存在といえるのが、ニュージーランド航空だ。これまでハリウッド映画やラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」とコラボレーションしたり、ニュージーランド全土がロケ地となった映画『ホビット』の監督ピーター・ジャクソンやフロド・バギンス役のイライジャ・ウッドらが出演したりと、まるでプロモーションビデオのような内容の機内安全ビデオを次々と公開。機内のみならず「YouTube」でも閲覧できるようにしたため、特にホビットをテーマとして制作された「壮大すぎる機内安全ビデオ」編はYouTube公開後わずか1週間で約1600万回Viewに達した。
 

そのニュージーランド航空が今年7月、最新作を公開した。タイトルは「ファンタスティカル・ジャーニー <空想の冒険旅行編>」。ニュージーランド各地にある絶景や神秘的なスポットなどが次々と登場し、映画『バットマン ビギンズ』のケイティ・ホームズと『ザ・エージェント』のキューバ・グッディング・ジュニアが、ニュージーランド航空の客室乗務員とともに機内の安全について紹介する。BGMも心地良く、見ているうちに思わずニュージーランドに行きたくなってくる。

 

ターキッシュエアラインズ 「6秒の魔術師」とコラボしてトリック演出で

ほかにも、ユニークな機内安全ビデオを制作する航空会社をいくつか紹介する。
 

ターキッシュエアラインズでは、「6秒の魔術師」としてインターネットで話題の映像作家で知られるザック・キング氏とコラボレーション。キング氏ならではのトリック演出が、機内安全ビデオの中で次々と登場するので、見ていてとてもおもしろく、内容もスッと頭の中に入ってくる。


 

エールフランス シンプルかつおしゃれで洗練されたおフランス風

エールフランス航空の機内安全ビデオは、フランス語と英語。全体的にシンプルながら、さすが芸術の国・フランスを思わせるおしゃれでセンスの高さが、機内安全ビデオから十分にうかがえる。テンポの良い音楽も合わせ、今からフライトという気分が高まってくる。ちなみに、エールフランスは広告のポスターやテレビCMなどもデザイン性が非常に高い。

 

海南航空 6分半の長さでも楽しく見てしまう中華アニメ

中国最南端の海南省を拠点とする海南航空の機内安全ビデオはなんと6分半もある。お茶から始まる中華風のアニメーションで、内容がわかりやすいのはもちろん、見ているうちにキャラクターたちに愛着が湧いてくるから不思議。中国語と英語で紹介される。以前、機内安全ビデオが京劇風のアニメーションだったこともある。

 

国内唯一 ジャズラウンジを機内に見立てて紹介するスターフライヤー

日本国内では、スターフライヤーの機内安全ビデオがスタイリッシュ。現在の「STARFLYER JAZZ Lounge」は2014年9月に公開され、ジャズラウンジをキャビン(機内)に見立て、飛行機以外での撮影は日本初という。スターフライヤーでは以前の機内安全ビデオ「スターフライヤー忍者」が公開された時も、忍者たちが機内の安全を紹介するアニメーションが話題となった。

 

機内安全ビデオがないLCC ジェットスターは「マンガ」でアピール

ジェットスター・ジャパンの機内誌には、機内での安全をマンガで紹介するページが掲載されている / 筆者撮影

LCC(格安航空会社)の場合、機内にモニターがないことがあり、その場合は機内での安全について客室乗務員が通路に立って案内するのが通例だ。国内LCCのジェットスター・ジャパンでは、客室乗務員による案内のほか、シートごとに備え付けてある機内誌にも、ジェットスター・ジャパンのマスコットキャラクター「ジェッ太」が機内での安全を紹介するマンガが掲載されている。とてもわかりやすくて画期的といえる。

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