ボルボが2019年以降、電動化車両専業メーカーに変身!その真意とは

日本を含めて好調なセールスを実現しているボルボ。そんなボルボが2019年以降、新車は電動化車両に特化すると発表した。その真意とは?

日本を含めて好調なセールスを実現しているボルボだが…

ボルボは現在、日本にガソリンだけでなく、クリーンディーゼルエンジン車、プラグインハイブリッド車を展開している。2016年は世界販売台数の最高記録(534,332台/前年比6.2%増)を更新し、日本を含めて好調なセールスを実現している。そんなボルボが2019年以降、新車は電動化車両に特化すると発表したのだ。その真意とは?
 

欧州のディーゼルエンジン逆風が電動化車両へのシフトを加速!?

volvo
2019年以降の新型車を電動化車両にすると発表したボルボ

2017年5月、ボルボ本国のスウェーデンから「次世代ディーゼルエンジン車の開発は続けない可能性がある」という趣旨の報道が流れた。ディーゼルエンジンにはエミッション(大気汚染物質)対策などのため膨大な開発費が必要だが、日本のボルボファンでも驚いた方が多いはず。
 

それというのも、現在、ボルボが市販化しているディーゼルエンジンは、高価な後処理装置を使わずに大気汚染物質の放出を削減するという、高度な技術が使われているのだが、この実現に膨大なコストをかけてきたからだ。つまり、そうした技術を手放すことはない、ということで驚いた方も多いと思う。
 

一方で、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン不正問題や欧州の環境問題の深刻化などにより、今後、ディーゼルエンジン搭載車はお膝元の欧州で規制が強まるのは既定路線。
 

さらに、ディーゼルエンジン車はそのものが欧州各地で通行できない、という流れが出てくると欧州の自動車メーカーも含めて予測しているはずだ。
 

2019年以降、ボルボの新車は電動化車両のみに?

CEO
ボルボ・カーズのCEOであるHåkan Samuelsson氏が「エンジン(内燃機関)だけで走るクルマの終焉」と今回の電動化車両特化を発表した

そうした流れにある中、2017年7月6日の朝刊各紙などでも報道されたのが、ボルボが2019年以降の新モデルは、「EV(電気自動車)かPHV/PHEV(プラグインハイブリッド車、マイルドハイブリッド車)」のみとするというものだ。
 

これは、テスラのようにEV専業メーカーになるというアナウンスではなく、ガソリンエンジン車を搭載できるプラグインハイブリッド車、マイルドハイブリッド車(48V車)を含んでいる。さらに、そのうち3台はボルボ、2台はハイパフォーマンスカーモデルであるポールスター仕様になるそう。
 

以前から掲げてきた「Drive-E」戦略がヒント

ボルボは現在まで「Drive-E」と呼ぶパワートレーン戦略を掲げている。これは、ガソリン、ディーゼルエンジンともに「4気筒エンジン」までとして、5気筒や6気筒エンジンを廃止し、開発費などのコストを抑制するもの。
 

ボルボが「Drive-E」の戦略を説明する際も、将来的にはここに電動化車両が含まれるとしてきた(実際にプラグインハイブリッド車を発売済み)。
 

「Drive-E」の「E」には、「効率的」を意味する「Efficient」の「Efficient power」、「Electrification(電動化)」、「Environment(環境)」があるとされてきたが、今回の電動化車両へのシフトは以前から描かれていた戦略を公にしただけなのかもしれない。
 

電動化の流れは、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲングループ、BMWなどの他の欧州メーカーでも見られる。ボルボよりも規模が大きなメーカーではこうした思い切った戦略は採りにくいかもしれないが、欧州勢を中心に電動化の流れはさらに加速するのは間違いないだろう。

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