スタッドレスタイヤに最も求められる氷上のブレーキ性能
通常のサマータイヤ同様、スタッドレスタイヤも消耗品ではあるが、とくに滑りやすい氷上などの冬道では夏タイヤ以上に性能に気を配っている人も多いだろう。1982年に日本で初めてスタッドレスタイヤを発売したミシュラン(日本ミシュランタイヤ)から新製品の「MICHELIN X-ICE3+(プラス)」が発表された。
8月1日から発売される「X-ICE3+(プラス)」は、スタッドレスタイヤに求められる氷上性能(アイスブレーキ性能)を従来品の「X-ICE3」から引き上げることを主眼において開発されたという。
従来品よりも新品時で4.5%、摩耗時では11.5%も改善
同社によると、スタッドレスタイヤに一番求められる性能がこの「アイスブレーキ性能」であり、これは、新品時はもちろん、タイヤ表面(トレッド)の摩耗時でも同様だという。つまり、いつでも「氷上でしっかり止まる」ことが最も重要視されているのだ。
これは、雪国の方はもちろん、ウインタースポーツを楽しむ非降雪地帯に住む人でもアイスバーンやミラーバーンなどと呼ばれる氷上を運転したことのある方なら即理解できるはず。
「X-ICE3+(プラス)」のアイスブレーキ性能は、従来品の「X-ICE3」よりも新品時で4.5%、摩耗時では11.5%も改善されているという。
タイヤのゴムを構成する新素材「Mチップ」を採用
なお、「X-ICE3+(プラス)」のトレッドパターン(タイヤ表面のパターン)は、「X-ICE3」とほぼ同じで、使われている共通技術も多いが、「X-ICE3+(プラス)」では、新コンパウンド(タイヤのゴムを構成する混合物)の採用がトピックスだ。
新コンパウンドに「Mチップ」と呼ばれる素材を埋め込み、氷上で欠かせない要素であるしっかりとした剛性感を確保。「Mチップ」は、摩耗が進むとタイヤ表面に出現し、これが溶けることで無数の穴が現れる。この穴が氷上の水分を除去し、氷に密着するという。
これにより、「X-ICE3+(プラス)」は、新品時でも摩耗時(50%)でもトレッドパターンにほとんど変わりはなく、すり減っても最後まで高い安心感が確保されるそうだ。
原材料費の高騰で、各社ともに値上げ基調
価格はオープンプライスだが、実勢価格(市場価格)は、従来品の「X-ICE3」と大きく変わらない見通しだという。なお、タイヤは原材料費の高騰で、各社ともに今春から今夏にかけて値上げ基調となっている。
日本ミシュランタイヤも例外ではなく、今夏以降、日本国内向けタイヤをすでに5%値上げすると発表済み。「X-ICE3+(プラス)」の実勢価格が「X-ICE3」と同等程度という予想は、今夏の値上げを反映したものになりそうだ。