河北新報によると、秋田県警仙北署は19日、仙北市の山中にタケノコ採りに入り、15日から行方が分からなくなっていた秋田県美郷町の土木作業員の男性(59)を4日ぶりに発見したといいます。男性は山中で2度にわたりクマと遭遇し、逃げている最中に遭難したといい、衰弱していますが命に別条はないようです。
クマの出没は、16日に神奈川県相模原市緑区若柳の相模湖でツキノワグマが泳いでいるのを目撃されたのをはじめ、17日に秋田県横手市城山町の横手公園でツキノワグマ2頭が捕獲されたり、18日に福島県の猪苗代町や会津若松市で目撃されたりしたと報道されています。
参照:
春から夏にかけてはクマに注意
2016年はクマの襲撃による死者が続き、ニュースとなっていました。今年も被害に遭った人がいます。WWFによると、クマによる被害発生が多い時期は、北海道・東北では春と秋にピークがあり、関東などでは夏に増えるといいます。また、ツキノワグマが大量出没した年では、10月が出没のピークだったという報告もあります。
クマに遭遇しないようにするために、また遭遇した時の対処法はあるのでしょうか。これに関して、アウトドア雑誌の編集長の経験もある小林孝延氏がAll Aboutの『被害多発!キャンプでクマに襲われない方法』で解説しています。
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クマに遭遇しないための予防策は
小林氏によると、クマに遭遇しないための予防となる策として、
- クマが好む、沢沿いやササの生い茂った場所をキャンプ地として選ばない
- 食料や残飯の保管・始末をきちんとすること
テントサイトと距離のあるところに駐車した車の中に保管するなどを推奨している。 - 単独行動は避け、大勢でいること
- 犬を連れて行く
- 山道に入るときにクマ鈴をつける
- 棒でたらいなどをガンガンたたきながら歩く
しかし、相手は野生であるため、どれも“確実”ではないとしています。
万が一、クマに出遭ってしまったら
予防していたとはいえ、運悪く鉢合せになってしまったら、どうすればいいのか。小林氏は、環境省が推奨する対処法を引用しつつ、下記のように紹介する。
- まず遠くにいるクマに気付いたときは、あわてず、落ち着いてその場から離れること
- クマを驚かせるような大声を出したり、フラッシュをたいたりしないこと
- ゆっくりと後ずさりしてその場を離れる
近くにクマがいたときはクマに背を向けず、ゆっくりとクマを見て、後ずさりしながらその場を離れること。背を向けるとクマは一気に追いかけてくる習性があるそう。その速度は、50キロにまで上がる。 - 襲われたときに備え、両手で頭をガードする
クマに遭遇し、襲われても命を取り留めたケースにしばしば見られる防衛策であるそうだ。 - 食料などを携帯している場合は荷物などをその場に置くこと
クマの興味が食料にうつり、その隙に逃げられる可能性が高くなる。
襲ってきたら覚悟を決めて戦うしかなく、その場合は武器で急所(鼻先)をめがけて叩きつける、もしくはクマ撃退用のスプレーを発射することが効果的とされています。
さらに、昨年は秋田でクマによる事件が続きました。これによって人間をエサと認識したクマにとっては、クマ除けの定番と言われる「クマ鈴」や「爆竹」はそこにエサがいるという合図になってしまい、かえってクマを呼び寄せる危険があると警鐘を鳴らす専門家もいるようです。つまり、これまで有効とされていた対処法も絶対ではないと心得た方が良さそうです。
「まずは出合わないのがいちばんです。キャンプに出かける前には目的地周辺のクマ目撃情報やニュースを頻繁にチェック(現在だけでなく過去に遡って調べること)して、危険な地域は避けるようにする。それにまさる策はないと言えるでしょう。」(小林氏)
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