暑さに、ケガ人……苦しくもイラクとは引き分けに
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表が、来年のロシアW杯出場へまた一歩近づいた。
日本、オーストラリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イラク、タイの6カ国によるホーム&アウェイのリーグ戦で争われる最終予選グループBは、6月13日に第8節を迎えた。イラクと対戦した日本は、イランの首都テヘランへ乗り込んだ。政情不安のイラクは、ホームゲームを第三国で開催しているためである。
香川真司(ドルトムント/ドイツ)や山口蛍(セレッソ大阪)らの主力がケガを理由にスタメンから外れるなかで、日本は得点源の大迫勇也(ケルン/ドイツ)がヘディングシュートを決めて先制する。開始早々の得点で精神的な余裕が生まれたはずだが、戦いぶりはいまひとつピリッとしない。空気が乾ききった暑さにも苦しめられる消耗戦となり、連携ミスから失点して1-1の引き分けに終わったのだった。
6大会連続の出場まであと1勝に
ロシアW杯にはグループの上位2カ国が出場でき、3位チームはプレーオフに望みをつなぐ。イラク戦の引き分けで勝点17とした日本は、ともに勝点16のサウジアラビアとオーストラリアを抑えて首位をキープするとともに、残り2試合で1勝すれば2位以内を確保できる状況となった。連敗を喫するようなことがあっても、3位でプレーオフに進出することができる。
欧州各国のシーズンがオフに入っていることもあり、次の試合はシーズン開幕後の8月31日に行われる。およそ2カ月後の最終決戦へ向けて、日本が改善するべきポイントは何だろうか。
「世代交代」が進んだように見えるが……
ここ数試合の日本は、ケガ人が絶えないために“やり繰り”を強いられた。システムは4-2-3-1から4-3-3に変更され、イラク戦で再び4-2-3-1に戻った。
変わったのはシステムだけではない。選手の入れ替わりも激しい。
所属クラブでの実戦経験に基づいた選考基準によって、本田圭佑(ミラン/イタリア)がスタメンから外れたり、清武弘嗣(セレッソ大阪)が招集されなかったり、といった事態が起きた。彼らに代わって、4年前のブラジルW杯に出場していない原口元気(ヘルタ/ドイツ)や久保裕也(ヘント/ベルギー)が台頭してきた。
一見すると、世代交代の加速や選手層アップを印象づける。しかし現実は、その時々でシステムと選手を“やり繰り”してきたに過ぎない。ポジションを巡る競争は、必ずしも激しくなっていないのだ。
消去法によるスタメン選びでは、本大会を勝ち抜けない
ミランとの契約が満了した本田は、新たな所属先で定位置を確保できるのか。
ヘルタからイングランド・プレミアリーグのクラブへ移籍が濃厚な原口は、次なるクラブでもポジションをつかめるのか。
インテル・ミラノを退団するとの噂がある長友佑都は、新シーズンをどこで迎えるのか。
3月からケガで実戦を離れている長谷部誠は、どのタイミングで復帰してくるのか──。
そうした不確定要素を含みつつも、選手個々がレベルアップをはかり、本当の意味での競争を繰り広げることで、チーム力を高めていかなければならない。誰かがケガをしているとか、クラブで試合に出ていないといった理由で、つまりは消去法でメンバーが決められていくようでは、ロシアW杯の出場を決めることはできても、本大会で上位に進出するのは難しい。
これからの2カ月で、誰が、どこで、どのようなプレーを見せていくのか。一人ひとりの1試合ずつの積み重ねが、チームの可能性を拡げていくことにつながる。
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