藤井四段が「大志」と揮毫した扇子は即完売に……
将棋の最年少プロ棋士で、人気急上昇中の藤井聡太四段(14)が「大志」と揮毫(きごう)した扇子が7日、東京と大阪の将棋会館で、また8日には日本将棋連盟のオンラインショップで売り出されましたが、完売となりました。
扇子は1本2268円で、日本将棋連盟のホームページによると6月下旬の入荷となります。
参照:
藤井四段の揮毫「大志」入り扇子 東京と大阪の将棋会館で販売
14歳の藤井四段が23連勝 単独3位、羽生3冠抜く
一方、こうした熱狂ぶりからか、ヤフオク!などのオークションサイトでは、藤井聡太四段の扇子が出品されています。ヤフオク!で9日10時半に検索したところ約120件。現在価格が15,600円で入札されているものも見られました。
当日行列を作って買い求められていた扇子ですが、SNSでは「転売目的だったのではないか」という声も見受けられます。こうした出品はルール違反ではないのでしょうか。All Aboutでネットオークションガイドを務めるオークションの達人、川崎さちえさんに編集部が聞きました。
**********
販売元のルール上は問題はないが「モラル」の問題
――チケットは「転売目的」で購入すると条例違反になりますが、藤井四段の扇子は商品です。この場合、法律やオークションに出品するルールには違反していないのでしょうか。
川崎「将棋連盟のオンラインショップでは転売について明記されていないので、販売元のルール上は問題ないといえます。
メルカリも見たのですが、やはり売り切れになっている商品がほとんどです。もし同じ人がメルカリとヤフオク!に同時に出品していたのであれば、ヤフオク!のルール違反になります」
同じ商品を、他社のサービスやその他の方法によって、二重に出品すること
参照:ヤフオク!出品にあたっての禁止行為
川崎「こういった禁止行為が云々というよりも、やはりモラルの問題だと思います。チケットと同じで、本当に欲しい人が定価で買うことができないのは、どうかなと思います。出品している人も、もし自分が買う側だったらと考えるきっかけが必要かもしれません。なお、チケットに関しては、逮捕者が出たので、今後も取り締まりは強化されると思います」
過去には似たような事例も……
なお、川崎さんによると、数年前に東京駅100周年のSuicaが販売になったときは、トラブルがあったといいます。ヤフオク!にも出品され、何億円という価格になっていたそうです。
川崎氏「わざわざ新規IDをとって入札するくらいなので、入札者はかなり激怒していたのだと思います。もちろん買う気はなくて、キャンセル前提の入札でした。今回も同様に、そういった嫌がらせが起きる可能性もあります」
話題性がある人の関連グッズは瞬間的に人気が出る傾向があり、転売をする人は必ず出てくるのだそうです。たとえば、テニスの錦織圭選手が話題になった際は、ユニクロの錦織モデルなどが売れたと川崎さんは述べています。
転売を防ぐためには「転売禁止のルール」を作るのが大事
――オークションを出品する時に守るべき心構えなどがあれば教えてください。
川崎「今回は扇子ですが、関連商品として自分で何かを作って売る人も出てくる可能性があります。ジャニーズの手づくりグッズがいい例ですが、これは肖像権とか著作権とか、そういった権利の侵害になってしまうので、やってはいけません」
――商品が転売されないようにするために対処法はありますか?
川崎「商品を販売する側はまず、転売禁止のルールを作ることです。ヤフオク!やメルカリで発見したら、違反として申告をして削除してもらう方法もあります。
あとは、手間はかかりますが、購入した人の名前を入れて売るというのも手です。実は、御朱印の転売を阻止するために名前を入れている神社やお寺もあります」
ファンなら買わないことが原則
――買う側の心構えなどもあれば教えてください。
川崎「買う人がいるから売るというのが基本になっているので、本当に藤井四段のファンなのであれば、買わないことです。時間がたてば将棋連盟の方でも数をそろえて販売をすると思うので、それを待った方が気持ち的にもコスト的にもいいのではないかと思います」
……教えていただいたのは
ネットオークション ガイド
川崎 さちえさん
ネットオークション暦14年。NHK「あさイチ」や日テレ「あのニュースで得する人損する人」などに出演し、経験に基づいた実践型のオークションの魅力を伝えている。
https://allabout.co.jp/gm/gp/246/
【関連リンク】