ギョウジャニンニクと誤り、食中毒に…
北海道富良野保健所は15日、70~80歳代の男女3人がギョウジャニンニクと誤って有毒の観賞用植物イヌサフランを食べ、食中毒となっていたことを明らかにした。このうち、80代の女性は13日に死亡したという。同保健所は有毒植物による食中毒の発生防止について注意を呼び掛けている。
食中毒というと、サルモネラ菌などの細菌型や、ノロウイルスなどのウイルス性のものを思い浮かべるかもしれないが、それ以外にも身近な植物がきっかけとなって食中毒になってしまう例はある。これに関して、食と安全の専門家である南恵子氏がAll Aboutの『山菜や野菜、身近な食べ物の意外な毒性にご注意』で解説をしている。
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食中毒の種類とは
食中毒というと、サルモネラ菌などの細菌型や、ノロウイルスなどのウイルス性といった微生物によるもののイメージが強いが、化学物質や自然毒による食中毒もあると南氏は解説する。自然毒には、フグや貝類の毒による動物性、キノコや毒草などの植物性があり、毎年、春は山菜、秋はキノコ類による食中毒が増える。
どんな植物が間違えやすい?
南氏は、平成15年~24年に山菜や野菜と間違えて毒草を食べた中毒例について、下の表を示している。
表によると、スイセンをニラやノビル、タマネギと誤る例が見られる(2016年にも発生している)。今回問題になったイヌサフランも、ギョウジャニンニクのほか、ギボウシやジャガイモ、タマネギと間違えやすいようだ。
<その他の例>
- バイケイソウ:オオバギボウシ、ギョウジャニンニクと見間違え
- チョウセンアサガオ:ゴボウ、オクラ、モロヘイヤ、アシタバ、ゴマと見間違え
- トリカブト :ニリンソウ、モミジガサと見間違え
- クワズイモ :サトイモと見間違え
- スズラン:ギョウジャニンニクと見間違え
- ドクゼリ:セリと見間違え
ジャガイモや銀杏も注意
身近な食材であるジャガイモも、毒性成分が含まれていて注意が必要だ。例えば、小学校で学校菜園の教材として栽培されたジャガイモを未熟な時期に収穫して食べ、集団食中毒となったケースもあるという。芽が出ていなくても、未熟で表面が緑色をしていたり、ジャガイモに光があたったりすると、ソラニン、チャコニンといった有毒物質が産生されるためだと考えられている。
銀杏も、子供やお年寄りが一度に大量に食すと食中毒になるケースがある。また、アジサイも料理の飾りに置かれる場合があるが、食べるのは危険だ。
身近な食べ物による食中毒を防ぐために
上記のような食中毒による被害を防ぐためにできることとして、南氏は以下のようなものを挙げている。
■園芸種と野菜の見間違えを防ぐには
園芸種と野菜を混ぜて植えないようにすること
■ジャガイモの取り扱い
- 栽培するときは、地表から露出しないように土寄せする
- 収穫後は暗いところに保存する
- ジャガイモに含まれるソラニンは加熱してもほとんど分解されないので、未熟で緑色っぽいじゃがいもを調理する際は、皮を厚めにむき、芽が出ている物は芽の部分を完全に除去する
■野草、山菜を採取するときの注意点
専門家である南氏自身も、野草等を採取する時は、明らかに間違えないようなものしか摘まず、1本1本確かめながら手で摘むという。これは希少な品種を不必要に摘んで命を絶たせないためでもあり、毒草が混ざらないようにするためでもあるという。
「自然と付き合うには、それなりの心構えや知識が必要です。よく知らないうちは、決して一人で摘まず、専門家に教えてもらうこと、また人様に摘んだものを分けたりしないようにしましょう」(南氏)
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