暑い季節に注意したい「光化学スモッグ注意報」
神奈川県は12日15時40分、湘南地域に光化学スモッグ注意報を発令し、16時50分に解除した。発令は今年初めてという。
暑くなるにつれ、「光化学スモッグ注意報」を耳にする機会は増える。一体どのようなものなのか。我々はどのような注意をするべきなのだろうか。これに関して医学博士の西園寺克氏がAll Aboutの『光化学スモッグの症状は?注意報発令時の対処法』で「光化学スモッグは人体に悪影響を与える大気汚染の現象のことです。光化学スモッグ注意報が発令された場合は、なるべく外に出ないなどの対策が必要となります」として、以下のように説明している。
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光化学スモッグとは?
そもそも「光化学」とは、光が引き起こす化学反応のことで、植物の光合成も光化学反応の一つ。「光化学スモッグ」は光によって大気中の汚染物質が「分解」され、新たな有害物質が発生することを指す。
なお、スモッグ(smog)はsmoke(煙)とfog(霧)の合成語。石炭を使っていた時代のイギリスで、煙と霧が混ざったような大気が確認されたときに作られた造語と言われている。日本では大気汚染を象徴する意味でスモッグという語を使っているが、光化学スモッグ注意報が出たからといって、大気が汚く煙って見えるということはなく、目に見えない分、注意が必要だと西園寺氏は述べる。
光化学スモッグの原因
光化学スモッグは、光と、排気ガスに含まれる汚染物質、空気の対流(拡散)が関係して起きる。
「汚れた大気に光が当たることで、大気中の炭水化物や窒素化合物が分解し、人体にも有害な光化学オキシダントなどの化合物を生み出してしまうのです」(西園寺氏)
光化学スモッグの症状
<主な症状>
目の痛み・咳・気分の悪さなど
光化学スモッグの影響を受けやすいのは、直接外気に触れる目と、空気が通る呼吸器と西園寺氏は説明する。
まれに、重症化すると呼吸困難や嘔吐、頭痛や意識障害などの症状を引き起こすことがあると報告されているようだ。
「特に注意が必要なのは、アレルギーを持っている人でしょう。アレルギー性の結膜炎や喘息などの持病がある場合は症状が悪化する可能性があるので、持病のない人よりも光化学スモッグ注意報にいっそう注意を払う必要があります」
光化学スモッグの予防法・対処法
■マスクでの予防はできない
光化学スモッグの場合は相手が揮発性の低分子であるので、マスクでも予防はできないため、光化学スモッグ発生時には屋外に出ないという予防法しかないという。
■対処法は出てきた症状をケアする対症療法のみ
目やのどに異常がある場合は洗眼やうがいをし、皮膚にかゆみがある場合はシャワーなどで洗い流す。呼吸困難などの重たい症状が出た場合は、病院を受診する必要がある。
光化学スモッグの危険性が高い日
西園寺氏によると、大気と光があれば、光化学反応は常に起きるという。よって、光化学反応自体がほとんど起きない雨の日に、光化学スモッグが発生することはない。一方で、光が差す晴れた日は、常に何らかの光化学反応が起きていることになる。汚染物質によって有害物質が発生した場合も、風があれば有害物質は大気中で拡散され、人がいる地表での濃度は減少する。
一番危ないのは、うす曇りであまり雲が移動しないような日だという。雲があるので紫外線量は少し減少するが、大気が拡散しないため地表での光化学反応による物質の堆積は増加するためだという。地方自治体では光化学反応でできた酸化物質の濃度を測定して光化学スモッグ(光化学オキシダント)注意報を出す。
■注意したい時間帯は?
光化学スモッグは光の差さない夜には現象するため、朝の出勤時間や登校時間は心配しなくて大丈夫と西園寺氏は述べる。一方、昼前から子供の帰宅時間である夕方にかけては熱中症だけでなく、光化学スモッグも発生しやすいといい、ともに注意が必要だ。
<参考サイト>
……全国の大気汚染状況について、24時間情報提供がされている
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