最年少は9歳…性犯罪の被害が多い
2016年にインターネットの交流サイト(SNS)を通じて犯罪被害に遭った18歳未満の子供が、前年比84人増の1736人となったと警察庁が明らかにした。これは、統計を始めた2008年以降最多という。
参考:
- 共同通信『18歳未満の交流サイト被害最多 大半は女性、閲覧制限なし9割』
- 警察庁『平成28年におけるコミュニティサイト等に 起因する事犯の現状と対策について』
- 警察庁『平成28年におけるコミュニティサイト等に 起因する事犯の現状と対策について(資料)』
統計によると、以下のようなことが分かったという。
- 被害者の9割以上が少女。年齢は16歳(25.9%)、17歳(24.2%)で半数を占める。最年少は9歳という報道も
- Twitterにおける被害児童数が約2倍に増加(446人)。次いで「ぎゃるる」が続いた
- 被害の内容は、淫行などの青少年保護育成条例違反が多く(38.1%)、ネットで裸の画像を送らせるなど児童ポルノ(32.4%)、児童買春(24.5%)が続く
これに関して、SNSや情報リテラシー教育に詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏がAll Aboutの『SNSも悪用…未成年が性被害にあう「出会い系」の実態』で、昨年上半期のデータをもとに解説をしている。
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Twitterは増、対策を強化したサイトは減少傾向
Twitterは、昨年上半期も被害が多かった。これについて高橋氏は、Twitterの対応は外部から通報のあった児童ポルノの削除などにとどまっており、被害は増加傾向にあると解説している。なお、今回の調査でも、被害児童の4人に1人がTwitterによるもので、Twitterを除く他のサイトにおける被害児童数は、約1割減少しているということを明らかにしている。
「TwitterはLINEと並んで10代に人気の高いSNSであり、保護者は子供の利用状況に注意を払う必要があるでしょう」
一方で、今回も2番目に多かったとされるチャット系アプリ「ぎゃるる」や「LINE」、「友達作りTalk」は年齢確認による18歳以上との交流制限、投稿内容の監視などの対策を施したサイトは減少傾向にあったとも述べている。なお、今回の発表では、「ぎゃるる」での被害は減少傾向にあるが、「LINE」は微増だった。
なぜ、コミュニティサイトで性被害が起きるのか
それでは、なぜ、コミュニティサイトで性被害が起きてしまうのか。
■「コミュニティサイト」は「出会い系サイト」ではない
高橋氏によると、平成20年に施行された「出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)」により規制が厳しくなった「出会い系サイト」ではなく、18歳未満が使っている「コミュニティサイト」に被害の場が移ってきている点を問題視している。
「SNSやゲームサイト、出会い系アプリなどは、この法律の定義する"出会い系サイト"に合致しないため、同法の規制対象とはなりません。そのようなものまで規制していくと、結局ネット全体を警察が監視することになってしまうため、今後も規制対象とはならない可能性が高いでしょう」
■ネットでは素性・本心が偽れる
なお、警察庁の「コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査結果について」(平成26年上半期)によると、約4割の被疑者が、性別や年齢、職業などを詐称していることがわかっていると、高橋氏は指摘。ネットでは素性や本心が偽れるため鵜呑みしてはいけないことを、子供に教えておきたい。
■ネットで知り合いを増やすことに抵抗がない子供の増加
また、ネットで知り合いを増やすことや、ネットで知り合った人と直接会うことに抵抗がない子供が増えている。こうした傾向も性被害などのリスクが伴う。
事前に子供を守るためにできる対策は?
被害を未然に防ぐためには、どのように対処すべきか。高橋氏は以下のような方法を述べている。
■小学生など子供が小さい場合
- フィルタリングサービスを併用する(今回の調査では、フィルタリングの利用の有無が判明した被害児童のうち約9割がフィルタリングを利用していなかった)
- 「ネットで知り合った人とは会わない」という約束をさせる
■中高生など子供が大きい場合
- 禁止や制限は通用しなくなるため注意が必要
- 「あなたが心配だからネットで知り合った人とはなるべく会ってほしくない」ことを伝える
- どうしても会うなら、「日中に人がたくさんいる場所で会うこと」「友達と複数で会いに行くこと」「保護者に行き先や合う相手を伝えてから行くこと」などを約束させる
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