福島でも登山中の男性が雪崩で心肺停止
再び寒さに包まれた日本列島で、雪崩による事故が相次いだ。
栃木県那須町の那須温泉ファミリースキー場で27日、登山講習会に参加した県立大田原高の生徒7人と顧問の男性教員1人が雪崩に巻き込まれ死亡。この日、生徒らは当初の登山ではなく、積雪をかき分けながら歩く「ラッセル訓練」を受けていたという。
福島県の安達太良山(あだたらやま)でも同日、登山中の男性2人が雪崩に巻き込まれた。28日に、地元消防が2人を発見、その後、地上から救助に向かった警察などが到着し、70代男性が心肺停止になっているのを確認したという。
毎年雪崩事故は絶えないが、どうしたら身を守ることができるのだろうか。雪崩の種類や前兆について、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏がAll Aboutの『雪崩から身を守る』で解説をしている。
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雪崩の種類は大きく2つ
雪崩には大きく分けて2種類がある。
■表層雪崩
- 気温が低く、大量の新雪が急激に積もった場合に発生
- 12月~2月頃の気温が低い時期に発生しやすい
- 速度は100km/h~200km/hというものすごいスピードになる
■全層雪崩
- 降雪や降雨の後に、天気が良く、気温が上がった時に発生
- 3月~4月頃の春スキーをする頃には全層雪崩が起きやすくなる
- スピードはやや遅いが規模の大きな雪崩になる恐れがある
スキー場で雪崩事故は発生するものなのか
雪崩の特徴については山スキーや冬山登山をする人間にとっては常識的なことだが、こうした知識がないスキーヤーやスノーボーダーが被害に遭いやすいのだという。
また、整備されているゲレンデ内での雪崩事故というのはほとんど可能性がなく(ゼロではない)、ゲレンデ内での雪崩事故は滑走禁止エリアに指定されたところを越えたところで発生しているという。近年、バックカントリーと呼ばれるゲレンデ外の滑走が人気だが、それを禁止区域や危険エリアに指定された場所で行う人が後を絶たないことは問題だと和田氏は指摘している。
雪崩には前兆がある!注意すべきことは
安全にスノーレジャーを楽しむために必要なこととして、和田氏は以下のポイントを挙げている。
- 上級スキーヤーやスノーボーダーは自分を含めて周囲の人間に、天候や積雪によって雪崩発生の危険を知らしめる義務があることを認識する
- 無圧雪エリア(パウダーゾーン)に入る場合は、3種の神器(ビーコン・ゾンデ・シャベル)無しに入らないこと
- 無圧雪エリア(パウダーゾーン)に入る場合は、出来ればプロの地元ガイドをつけて滑ること
- 最も安全なのは無圧雪エリア(パウダーゾーン)などに近づかないこと
- 雪庇(せっぴ・雪の張り出し)は雪崩の前兆となるので、近づかない
- 雪面に雪のころがった後やクラック(ひび割れ)を発見したときも要注意で、速にその場を離れて避難すること
- ルールを守ること
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