超高齢化社会の日本で、どれだけ労働力不足になるのか
人材派遣サービス「テンプスタッフ」や社員採用支援「DODA」などを展開するPERSOL(パーソル)グループの調査研究機関「パーソル総合研究所」はこのほど、「労働市場の未来推計」を発表。これによると、世界に先んじて超高齢化社会に突入する日本では、2025年に約583万人の労働力が不足するという。
同研究所では、約10年後の2025年に向けて、経済成長率を維持するために必要な就業者数と、将来推計人口から、人口減少に伴い就業者数がどう変化するかを推計。ここから就業者数のギャップを算出した。経済が低成長の場合で583万人、高成長の場合で1,255万人が不足する見込み。
産業別では情報通信・サービス業などで不足が目立つ
産業別に見ると、情報通信・サービス業が約482万人、卸売・小売業が約188万人と不足が目立つ一方で、製造業や政府サービス等は余剰がある状態。
地域別で見ると、東京は供給が不足するが隣接県から調達で充足可能という。また関西は人が若干余るが、中京は人手不足の傾向となっている。
労働力不足時代に必要な対策4つ
こうした予測にどのように対策を打つべきか。これに関して、同総研は、下記のような対策を具体的に提言している。
- 生産性向上 (生産性伸び率0.9%→1.2%)
…114万人の需要減 - 女性(30〜64歳)の労働参加促進 (例:35〜39歳女性の労働参加率73.6%→89.3%)
…350万人の供給増 - 男女シニア(65〜69歳)の労働参加促進 (例:65〜69歳男性の労働参加率57.6%→79.1%)
…167万人の供給増 - 外国人の労働参加促進 (例:労働人口に占める外国⼈の割合1.4%→2.8%)
…34万人の供給増
パーソルグループが「ジョブシェアセンター」を設立
提言にあるような対策を実行に移すことが今後必要となるが、具体的な取り組みをパーソルグループで行うと、3月22日にグループの取り組み説明発表会で発表した。
その一つとして、4月から始まるのが「ジョブシェアセンター」という。パーソルグループで人材派遣・アウトソーシング事業を手掛けるテンプスタッフが設立し、育児や介護等の事情により、就業時間が限られる方が都心へ通勤することなく職住近接で働ける拠点となる。4月3日に埼玉県さいたま市浦和区にて運営を開始し、順次東京23区外や神奈川県、千葉県など首都圏での事業拡大するという。
同センターでは、テンプスタッフ アウトソーシング事業本部で受託している案件や新規の案件等、複数の業務の中から「ジョブシェアセンター」に適した業務を切り分け、組み合わせることで週5フルタイム以外の限られた勤務形態の方も就業できる仕組みを作るという。業務内容は、PCを使わない封入・仕分けといった仕事から、専門知識が必要な仕事まで幅広く提供するという。
同グループを展開するテンプホールディングスの水田正道代表取締役社長 CEOは「労働力不足を解消するための方法は“多様性”に行きつく。多様性のある働き方を実現する、という使命に応えなければならない」と述べた。
発表会ではほかに、同グループのインテリジェンスが提供する経営顧問紹介サービス「i-common(アイコモン)」に、新たにシニアエグゼクティブやスペシャリスト約8000人を人材育成・研修講師として紹介する人材開発支援サービスが4月3日から加わることを発表。また、同グループの新CMもお披露目された。