大都市の交通混雑を緩和する目的で構想された未来の乗り物
イタリアの自動車デザイン会社・イタルデザインと、航空機を製造するエアバスが3月7日、地上および空中移動が可能な乗り物コンセプト「Pop.Up」を、スイスのジュネーブで開催中のジュネーブ国際モーターショーで発表した。航空宇宙産業と自動車産業の協同による、完全電動・排気ガスゼロの都市型輸送構想だ。
特に近年、大都市において、交通混雑は大きな懸念事項となっている。その交通混雑を緩和するために両社によって設計された乗り物といい、地上および空中輸送の自動運転システムによって、目的地までストレスなく楽しく過ごしながら移動できるコンセプトとして生み出されたという。
2人乗りのカプセル型乗り物が自動車と空飛ぶ乗り物に変化
「Pop.Up」では、乗客はカプセル型の乗り物で移動する。最新技術によるモノコックの炭素繊維製で、長さ2.6m・高さ1.4m・幅1.5mの大きさ。座席は2席。炭素繊維製シャシーとバッテリーで動く地上モジュールを結合することで、まずは“自動車”に変形する。
そして、大都市で交通渋滞の中を移動する際、カプセル型の乗り物は地上モジュールを切り離し、8個のローターを持つ幅5m・長さ4.4mの空中モジュールで運ばれる、自動操縦の“空飛ぶ乗り物”となる。空中を移動することで、交通渋滞を避け、乗換なしに快適に移動できる。
さらに、乗客が目的地に着くと、空中および地上モジュールは、専用の充電ステーションに自動で戻る仕組みなので、バッテリー切れをずっと心配しなくて良いのもいい。
この「Pop.Up」の利用方法も簡単だ。乗客がまず行き先を決め、専用アプリを通じて予約する。そして、「Pop.Up」システムがユーザーの知識、時間、交通渋滞、コスト、ライドシェア(相乗り)の要望に応じ、乗客のニーズに対応する最適な移動手段を自動提供する仕組みとなっている。
ユーザーのニーズに合わせて移動手段を自動提供する
「Pop.Up」のコンセプトは3つある。
- 乗客の知識を基礎とする人工知能(AI)によって最適な移動手段を提供して管理する。
- 人を乗せるカプセル型の乗り物で、その他公共輸送機関とも統合が可能。
- 乗客は専用アプリケーション(アプリ)を使って対話ができる。
「Pop.Up」は自動車と航空宇宙という異なる分野でのそれぞれの技術を組み合わせて作られた、まったく新しい乗り物といえる。ある時は地上走行、場合によっては空飛ぶ乗り物と乗客のニーズに合わせて、乗り物自体が変化できることで、スピーディーかつ自由に移動できる。近い将来、大都市で活躍する日が来るだろうか、今後の動きに注目したい。
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