ヤマト運輸が27年ぶり全面値上げを検討
宅配便最大手のヤマト運輸が2017年9月末までに、基本運賃を全面的に値上げする検討に入ったことが7日、分かった。各紙が報じている。全面値上げは消費税増税時を除くと27年ぶり。
参考:
ヤマト運輸27年ぶり全面値上げ 基本運賃、アマゾンらとも交渉
2017年3月期の宅配便の取り扱い個数が、今年2月まで11カ月間の累計で17億1226万個に達したという。背景にはAmazonなどインターネット通販サービスの取り扱いが増えたことにあるという。これにより、人手不足や長時間労働が起こっており、荷受量の見直しなどもされている。
こうした事態で注目されているのが、「宅配ボックス」や宅配サービス各社が展開しているネットサービスなどの存在だ。
戸建住宅向けの宅配ボックス市場が活況
マンションやアパートでよく見られるようになった宅配ボックスだが、戸建住宅向けの市場も活況になってきている。
2月、住生活に関わる商品企画・開発を行うナスタ、ハウスメーカーの大和ハウス工業、日本郵便の3社が新型宅配ボックスの普及に向けて越谷レイクタウン戸建分譲住宅地で取り組みを開始した。
3月6日には、パナソニックも宅配ボックス「COMBO(コンボ)」シリーズの品種を拡充すると発表。これに先んじて、パナソニックは宅配ボックスを活用した再配達削減の実証実験を福井県あわら市と共同で実施。市内のモニター設置世帯における再配達率は、設置前の約49%から設置後(2016年12月実績)約8%に減少したとしている。
便利なことに加えプライバシーやセキュリティでも安心
インテリア設計と住宅雑誌編集長の経験を持つ岩間光佐子氏はAll Aboutの『一戸建て用の宅配ボックス 種類と特徴 Q&A』の中で、戸建て住宅で宅配ボックスを設置するメリットについて、解説している。
メリットは、不在時に荷物を受け取り、保管できること、荷物の配達の日時を気にしないですむ、ということは言うまでもないが、帰宅後に再配達の連絡も不要で、直接対面しての受け取りではないのでプライバシーやセキュリティなどの面でも安心なこともメリットとして挙げられると岩間氏は指摘する。
「不在時だけでなく、夜間の来訪であったり、高齢の方や幼いお子さんがいらっしゃるご家庭など、外部との対応に不安を感じる場合などでも、便利なアイテムと言えるのではないでしょうか」(岩間氏)
『宅配ロッカー』の展開も見逃せない
一部地域で展開されはじめたのが『宅配ロッカー』の展開も見逃せない。『宅配ロッカー』は、宅配便の荷物を郵便局や駅などに設置されたロッカーで受け取れるというシステムで、ヤマト運輸の『ロッカー受け取り』、日本郵便のゆうパックを受け取れるサービス『はこぽす』、楽天市場の『楽天BOX』といったものがある。
こうしたサービスに関しては一人暮らしアドバイザーの河野真希氏が『駅での受け取りも可能に、便利すぎる最新の宅配便事情』で解説しており、24時間受け取りが可能であることや、ポストから不在票を抜きとられて荷物を盗まれるというトラブルが回避できるというメリットを挙げている。
「まだ宅配ロッカーの設置場所は都内中心で、数も決して多くありません。ただし、今後も設置は進んでいく方向で考えられており、また各宅配便会社が連携をして、どの宅配便でもロッカーを共有できるなど、より便利に利用できる方法を模索しているところです。自宅や勤務先、学校などの駅やコンビニなどに設置されていないか、時々チェックしてみることをおすすめします」(河野氏)
なお時事通信によると、ヤマトは22年ごろに首都圏を中心にロッカー5000台を設置する予定だったが、計画を前倒すという。
LINEで不在届けを受け取れるサービスも
河野氏は他にも宅配サービスについて便利なサービスを紹介している。例えば、ヤマト運輸では「クロネコメンバーズ」というサービスや「不在届け」をLINEで受け取るサービスを展開。荷物の到着や不在連絡を確認できるなどのメリットがある。佐川急便も「WEBトータルサポート」というサービスでも、荷物の配達予定や完了、不在通知がメールで送られ、メールに記載のリンクから受取日時の変更可能となる。
こうしたサービスは宅配サービスを使う側も便利だが、結果的に宅配業界全体の助けにもなるかもしれない。できるところから活用してみてはいかがだろうか。
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