渡航時間を大幅短縮した世界初の北極ルートが60周年
スカンジナビア航空(SAS)は2月23日、北極ルート開設60周年を記念したプレスカンファレンスを東京都内で実施し、これまでの経緯や今後の新たな取り組み、東京五輪に向けた羽田就航への意欲などを明らかにした。SASは現在、東京(成田)=デンマーク・コペンハーゲンを毎日1往復で運航している。
1957年、SASはそれまで香港やタイなどを経由する“南回り”で50時間以上かかっていたヨーロッパへの渡航時間を、北極圏を通る“北回り”の飛行に成功したことで東京=コペンハーゲンが20時間も短縮。以来、世界の航空会社が北極ルートを次々に採用していった。
LCCとの競争激化で今後はプレミアムな航空会社へ
現在、SASはコペンハーゲンを拠点に、世界187ヶ国1,175都市に就航する。特に、コペンハーゲンを経由してヨーロッパ各地へ向かう乗り継ぎでは、コンパクトなターミナルと快適なSASラウンジなど利便性が非常に高く、多くの就航路線を持つ。一方、近年はLCC(格安航空会社)との競争が激化している。
SASのグローバルセールス&レベニューマネージメント副社長のアンネリー・ナッセン氏は、新たな取り組みとして、従来のスカンジナビアのライフスタイルが感じられるエアラインから、さらに大手航空会社ならではのプレミアム感を提供することを目指すのに加え、現在保有する機材の種類を8から3に減らすことで整備面での負担を減らし、自社所有からリースを増やして製造年数が新しい機材で運航の効率を上げたいなどと語った。
また近年、世界の航空会社が次々と導入する機内Wi-Fiについては、1人あたり12MBという世界最速のWi-Fiシステムを2017年夏頃から開始する予定という。
A350XWB導入、東京五輪に向けた羽田就航への意欲
そして、今後新たに導入する機材として、仏・エアバス社のA320neoを短中距離路線で今後増やし、日本路線を含む長距離用には最新鋭のA350XWBを2019年から運航する予定。日本路線は現在A340で運航しており、A350XWBについては早い段階で日本路線でも導入したいとのこと。
さらに、2020年の東京五輪開催に合わせ、現在の成田から羽田への路線移管も目指したいことを明らかにした。理由として、同じスターアライアンスのメンバーであるANAの国内線が羽田に多くの路線があってコードシェアできること、五輪前に発着枠が拡張する次のタイミングでぜひ乗り入れたい意欲が強く伺えた。
SASは現在、日本路線向けに日本人クルーを2名搭乗、コペンハーゲン空港でも日本人スタッフを配置して対応するほか、ビジネスクラスではホテルのような雰囲気の快適なシートと北欧料理の機内食、エコノミークラスも最新鋭のタッチスクリーン式エンターテイメントシステムやパソコン用電源(2席に1つ)、全クラス利用できる機内Wi-Fiなどを装備した新キャビンで、日本人旅行者に定評ある海外航空会社の1つとして知られる。