世界有数の自動車連合を作り上げたゴーン氏

ルノーから日産に送り込まれてから18年間、日産だけでなくルノーも支えてきたカルロス ゴーン氏が社長を退任し、代表権のある会長職を続けると発表された。系列(ケイレツ)と呼ばれる傘下やグループ系企業の解体、村山工場の閉鎖、調達先企業の選別など「ゴーン・ショック」とも呼ばれた手法により、現在の1000万台近い世界有数の自動車連合を作り上げた。
 

一方でその方法にはいまだに賛否両論はあるが、ゴーン氏がいなかったら現在の日産の姿はなかったはずだ。日産と自動車業界に与える影響はあるのだろうか。
 

ルノーと日産に加え、三菱自動車も立て直すことに

ゴーン
カルロス ゴーン氏は、3社連合の総帥として、三菱自動車の会長として同社の再建にも注力する


日産からのプレスリリースには、「18年間育ててきた日産のマネジメント層には、事業と戦略的な目標を達成する上で求められる能力と経験があると信じています。三菱自動車の取締役会長に就任し、次の日産の定時株主総会の開催を控えていることから、西川廣人(さいかわ ひろと)氏に日産のCEO職を引き継ぐのに適切な時期であると判断しました。引き続き日産の取締役会長として、またルノー・日産・三菱自動車のアライアンスの枠組みの中で、監督・指導を行っていきます(以上、抜粋)」というカルロス ゴーン氏のコメントを掲載している。
 

ルノーと日産だけでなく、三菱自動車も会長として立て直すには相当な労力が必要だろう。日産以上に三菱には財閥体質が色濃く残っていそうだし、ゴーン氏が日産のV字回復を果たした時代とは状況が様変わりしている。
 

軽自動車の不振、EV車の普及など課題は山積み

国内では三菱と日産の軽自動車の立て直しという「今すぐ」必要な施策が必要で、EV(電気自動車)の普及も「今すぐ」、あるいは「すぐそこ」まで迫っている課題だ。日産ではゴーン氏が笛吹けども踊らずで日産リーフは計画どおりに売れず、度重なる値下げを敢行してきたのが実態だ。
 

ルノー、日産、三菱の総力を挙げてのEVやPHV(プラグインハイブリッド)の開発と普及に加えて、三菱が得意とするタイなどの東南アジアでの拡販も欠かせないだろう。また、インターネットや車車間通信、路車間通信を含めた「つながるクルマ(コネクテッドカー)」、自動運転技術の開発など、3社連合だけでなく、すでにマイクロソフトと日産が提携しているように、さらなる異業種との提携も欠かせなくなるはず。
 

グローバル販売では、フォルクスワーゲン、トヨタ、GMに次ぐ規模にまで到達し、1000万台規模にまで拡大したが、トヨタも苦労したように1000万台から先が難しいという指摘もある。そのためには、自動車メーカーを新たに同志に迎える必要が出てくるかもしれない。
 

カリスマ経営者の跡を継ぐ西川氏はすでに自動車業界の顔

ルノーと日産のアライアンス、そして今回の三菱自動車の日産への傘下入りなどを得意とするのがゴーン氏であり、同氏が会長としている間は大きな混乱はないはずだ。カリスマ経営者の後を受け継ぐのは、スズキの例を見ても分かるように容易ではない。
 

西川
西川廣人が日産の新社長となり独自色も打ち出すのか注目だ

 

約17年ぶりに日本人社長になる西川廣人氏(さいかわ ひろと)のプロフィールを見ると、購買畑を歩み、2014年に代表取締役、CCO(最高執行責任者)に、2015年に代表取締役、CCO、副会長に、2016年には代表取締役、共同最高経営責任者、副会長に就任している。
 

さらに、日本自動車工業界の会長でもあり、すでに日本の自動車業界の顔役のひとりになっている。一部報道では、西川氏はあまり表に出たがらないと実務型と評しているが、ゴーン氏の全幅の信頼を受けてどういった手腕で先述したような課題を解決していくか注目したい。個人的には、最近の日産は直近でセレナやノートe-POWERの投入で、日本市場でようやく「売れるクルマ」を投入したが、北米だけでなく、もっと日本のユーザーの心を掴むモデルを送り出して欲しいものだ。