共同通信の報道によると、28日午前11時45分ごろ、長崎市三景台町の路上に止まっていた車の中で長崎県諫早市多良見町の野中千晶さんが倒れているのを近くの住民が発見。長崎署によると、野中さんは腹部などを刺され、搬送先の病院で死亡した。約1時間後に野中さんの元夫が首をつっているのが見つかり、死亡が確認された。報道によると、野中さんは元夫によるストーカー被害を警察に相談していたという。
参照:長崎で腹部刺され女性死亡 自殺の元夫ストーカーか(共同通信)
ストーカーによる被害は後を絶たないが、いったいどこからがストーカー行為とされるのだろうか。All Aboutの複数の専門家が以下のように解説している。
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ストーカー行為を取り締まる「ストーカー規制法」ってどんな法律?
弁護士である酒井将氏によると、ストーカー行為は、「つきまとい行為」を反復して行うこと。「つきまとい行為」とは、以下のように定義されているという。
- 自宅・学校・職場などでの、つきまとい・待ち伏せ・押しかけ等
- 監視していると告げる行為(行動調査など)
- 面会・交際の要求
- 乱暴な言動(例えば、家の前でクラクションを鳴らしたり、大声で粗野な言葉を浴びせること)
- 無言電話、連続した電話・FAX(例えば、拒否しているにもかかわらず、短時間に何度も電話やFAXをすること)
- 汚物・動物の死体等の送付等
- 名誉を害する事項の告知等(例えば、中傷したり、名誉を傷つけるような内容の文書を届けること)
- 性的羞恥心を侵害する物品等の送付等(例えば、わいせつな写真を送りつけたり、電話や手紙で卑猥な言葉を告げて辱めようとすること)
ただし、法律の規制対象となる「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する」ことを目的にする行為に限られるという。
酒井氏によると、被害者からの申出があれば、警察は相手に対し「つきまとい等」を繰り返してはならないことを警告することになっており、警察の警告にも従わず、つきまとい行為を続けた場合には、刑罰が課されるという。
2017からSNSでのつきまといも対象に。罰則も強化
ITジャーナリストの高橋 暁子氏によると、2017年1月3日、SNSによるつきまといを新たに規制対象とした改正ストーカー規制法が施行され、TwitterやLINEなどのSNSでメッセージを連続送信したり、ブログに執拗な書き込みをしたりすることも対象とされることになったという。
「ストーカー行為罪の罰則上限は「懲役6月または罰金50万円」から「懲役1年または罰金100万円」に引き上げられました。同時に、被害者が告訴をしなくても起訴できる非親告罪となったため、被害者が加害者からの報復を恐れて告訴できないという事態も避けられるようになりました。また、緊急の場合は、事前の警告なしに都道府県の公安委員会が加害者に禁止命令が出せるなど、状況に応じて迅速に対応できるようになっています」
SNSなどのネット上でのやりとりでは、相手との心理的な距離感がわからなくなったり、一方が思い詰めて暴走したりしがち。ブロックや友達削除などは簡単にできるが、その行為が相手の神経を逆なでして暴力行為につながった例もあると高橋氏は述べている。
「自分は付き合っているつもりでも、相手に嫌がれていて自分がストーカー加害者と認定される可能性もあります。SNS上での過度な書き込みやメッセージは避け、すべてをSNS上だけで済まさず、リアルなコミュニケーションを大切にすることが大切です」
被害者はもちろん知らず知らずのうちに加害者にならないためにも、改めてストーカー行為についての最新知識を知っておくことが必要だ。
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