8月に脳出血を発症、リハビリを行ってきた
2016年8月に脳出血を発症し、今月、リハビリ病院を退院した歌手で女優の河合美智子が17日、東京都内で会見し、病状などを説明した。発症時は、映画撮影に向けた稽古中で、右半身が動かなくなったり、ろれつが回らなくなったりし、病院に運ばれ、治療、リハビリを行ってきたという。現在は右半身に少し後遺症があると報じられている。
参考記事:河合美智子:脳出血発症で闘病 出演映画初日に復帰へ
脳出血(脳内出血)とはどのような病気なのだろうか。前兆や予防に関して脳神経外科医の菅原道仁氏がAll Aboutの『脳内出血の原因・症状・治療法』で解説している。
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脳内出血とは脳内の血管が破れてしまう病気
脳内出血(脳出血)とは、脳内の血管が破れてしまうことにより引き起こされる。脳の血管が破れてしまう原因に菅原氏は「動脈硬化」を挙げる。
「動脈硬化のすすんだ血管は、血管の壁がもろくなるので血圧が高くなると破れやすくなってしまうのです。また、高血圧の方がコレステロールを下げ過ぎると脳内出血の危険性を上げることも知られていますので、定期的な血液検査も必要といえるでしょう」
ほとんどの脳内出血は、血圧が原因の事が多いが、脳動脈瘤や脳動静脈奇形といった先天的に血管の異常を抱えている人が中にはいるとされている。
なお、脳内出血と脳梗塞(脳内の血管が詰まることによって引き起こされる病気の総称)、くも膜下出血など脳の血管が原因で起こる病気を総称して脳卒中という。
脳内出血の前兆・症状
菅原氏によると、脳内出血にはほとんど予兆がなく、突然、発症してしまう病気なのだという。代表的な症状は以下のようなものがあるという。
- 意識がなくなった
- 体の半身が動かしにくい(片麻痺)
- 感覚がおかしい
- ろれつが回らない
- 言葉が思い出せない
- 視野が狭くなった
「とくに注意した方がいいことは、“体の半身に症状が出る”ということです。右側の脳に出血を起こせば左半身に、左側の脳に出血を起こせば右半身に症状がでて、体全体に症状が出ることは極めて稀です」
こうした左右に違う症状があるときは、早めに脳神経外科あるいは神経内科を受診したい。
脳内出血で手術はする? リハビリは?
出血量が少量であれば、血圧管理を行なって出血が吸収されるのを待つ。出血量が多量の場合は、手術治療を行うことがある。また、血管の異常によって引き起こされた脳出血の場合は、再出血の可能性が高いため手術治療を行うという。
脳内出血によって、手足を動かなくなったり、言葉が喋れなくなった場合、リハビリテーションが重要になる。病状が安定していれば、入院早期から積極的にリハビリテーションを行い機能回復に努める。リハビリテーションの治療期間は、多くは1~3ヶ月くらいだが、半年以上のリハビリが必要になる場合もあるという。
脳内出血を予防するには生活習慣病に注意
脳内出血を予防するには高血圧、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病に注意することが必要という。
- 血圧管理をすること
自宅血圧を測定して、1週間以上起床時の血圧が、140/85を超えるようであれば、近所の内科を受診すること。 - 塩分控えめの食生活に
塩分の高い食生活をしていると血圧が上がりやすいので、1日10g以下を目指したい。お味噌汁や麺類のスープを残す、加工食品を控えるなども有効。 - お酒・タバコは…
お酒は、肝臓の病気や糖尿病がなければ1合程度は許可できるが、タバコは厳禁とのこと。 - 生活に運動を取り入れる
運動は、できれば毎日8000歩から1万歩。軽く息が上がるくらいの運動がいい。なかなか時間が取れない人は、エスカレーターを使わず階段を使う、バス停を一つ前で降りる、自宅から離れているスーパーに行くなど、生活の中に運動を取り入れる工夫を。
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