2026年からW杯出場国は48に アジアは「8~9」枠か
サッカーW杯の出場国が、2026年大会から48か国となる。FIFA(国際サッカー連盟)がこのほど決定したもので、18年と22年の大会は現在の32か国参加で開催される。
W杯の予選は、参加国を6つの地域に分けて行われる。18年のロシアW杯では、開催国を除く「31」の出場枠を欧州13、南米4.5、アフリカ5、北中米カリブ海3.5、アジア4.5、オセアニア0.5とした。「0.5」については、大陸間プレーオフの出場権を分け合っていることを意味する。
32か国参加から16か国が増えて48か国になると、アジアの出場枠は「8」から「9」になると予想される。12か国が二つのグループで争っているロシアW杯のアジア最終予選に当てはめれば、少なくとも上位4か国は出場できる計算だ。各グループの上位2か国が出場権をつかみ、3位同士の勝者が北中米カリブ海地区との大陸間プレーオフに希望をつなぐ現在に比べると、はっきりとした余裕が生まれる。最終予選で一喜一憂するようなことは、もはやなくなるだろう。
日本は予選突破できても、上位進出は厳しい
だからといって、日本のレベルが上がるわけではない。アジアのライバルたちとの真剣勝負が減少することで、むしろ国際的な競争力の低下が危惧される。
本大会で上位に進出する可能性が、これまでより高まるわけでもない。
FIFAは48か国を16のグループに分け、3か国の総当たりでグループリーグを開催する構想を描く。グループリーグでは同一大陸の国同士の対戦はないため、現時点で13の出場枠を持つ欧州勢との対戦が確定的だ。もう1か国が南米勢でも、アフリカ勢でも、北中米カリブ海地区のメキシコやアメリカでも、日本にとっては厳しいと言わざるを得ない。
出場国が増えることで生じる問題点…
大会全体を見渡しても、問題点がある。32か国参加では予選を突破できずにいた国を“救済”することにより、大会のレベルを維持できるのだろうか。大量得点差のゲームが増えたら、W杯の権威が揺るぎかねない。
また、世界のサッカーカレンダーにはすでに隙間がなく、大会規模の拡大に合わせて日程を伸ばすのは現実的に難しい。試合数の増加による肉体的な負担が、選手へのしかかっていくことになる。
FIFAの狙いはマーケット拡大・グローバル化だが
そうしたマイナス要素を察知できながら、FIFAはなぜ拡大へ踏み出したのか? マーケットのさらなる拡大を狙っているのだ。
世界の人口ランキングで1位の中国、2位のインド、4位のインドネシアなどは、市場としての潜在的な魅力が高い。インドネシアを含めた東南アジア諸国も同様だ。しかし、W杯出場には縁遠い。こうした国が出場できる可能性を拡げることで、サッカーのグローバル化を推し進めながら収益を高めていく、というのがFIFAの狙いと考えられる。
もっとも、すでに多方面から反発の声が上がっている。とりわけ、各大陸の有力選手が集う欧州各国リーグの理解を、FIFAはどのように広げていくのか。48か国参加の拡大路線が、このままスムーズに進んでいくとは考えにくい。