コンパクトSUVのトヨタC-HR、ミドルサイズの新型CX-5は2代目にスイッチするなど、SUVの新型モデルが相次いで登場している。来年春に発売される新型プジョー3008など輸入車も例外ではなく、あのロールスロイスも「カリナン」というSUVを開発中だ。なぜ、いまSUVが人気なのだろうか。
過去何度もあったSUVブーム
SUVブームはいまに始まったことではない。「RVブーム」といわれた80年代後半から1990年代にかけては、クロカン四駆系のパジェロやハイラックスサーフなどのモデルが売れに売れた。
現在のSUVブームがかつてと違うのは「クロスオーバー」という考え方が反映されている点で、乗用車にSUVのテイストを盛り込むなど、SUVであってもオフロードを走破するのではなく、普通に街中で使うというのが大きな特徴だ。
木村拓哉をCMに起用した初代RAV4がブームの先駆け!?
こうした流れを生んだのは国産車では、1994年登場の初代トヨタ・RAV4あたりだろうか。木村拓哉をCMに起用し、若者を中心に大きな支持を集めた。初代RAV4から20年以上経っているからSUV「ブーム」というには長すぎる感もあるが、廃れたり盛り上がったりしながらも着実に定着している。
来春日本に新型3008を導入するプジョーのマーケティング担当者は、「何十万か高くなってもSUVを選ぶ人が増えている」と語っているのが印象的だった。さらに、トヨタC-HRのティザーサイトには、12月14日の正式発表前から300万人(UU/ユニークユーザーの数)も訪れたという。
なぜSUVが注目されているのだろうか?
大方のSUVには、ハッチバックやワゴンなどのベース車が存在する。先述したプジョーのマーケティング担当者が語るように、そのベース車よりも約30〜50万円(おおよそ)も高い予算を投じて購入しているのだ。
もちろん、SUVの4WDが必要という雪国などの地域性、スキーやアウトドアなどの趣味のニーズもあるだろう。しかし、2WDのSUVも数多く売れているだけに、それだけでは説明できない。
SUVの長所、短所とは?
最も大きいのは「見栄え」かもしれない。SUVは、ベースとなるハッチバックやワゴンよりも立派に見える場合が多いし、存在感もある。また、ベース車よりも背が高くなることで、室内(とくに高さ方向)が広く感じるし、フロアが高いから前方の見晴らしもいい。これにより、運転しやすいと思う人が多くいても不思議ではない。さらに、背が高い分、室内だけでなく荷室も容量が増し、荷物も多く積める。
一方でSUVになると、重量が増す場合が多く、燃費やハンドリングなどの運動性能で不利になりがちだ。また、全高が高くなったことで機械式立体駐車場などに入らなくなることもある。
デザインに惚れてファッション的に乗るのならいいが、それほど荷物を積まないのならベースとなるハッチバックやワゴンなどをチョイスする手もあるだろう。
メーカーや販売店にとっては、価格を高く設定できるSUVは利益率も高く、貢献度は大きい。今後も大小を問わず、SUVブームは続きそうだ。
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