6大陸の王者が戦う大会、日本勢初の決勝進出
日本サッカー界にとって、歴史的な勝利である。12月14日に行われたFIFAクラブW杯の準決勝で、鹿島アントラーズが南米代表のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)を破り、決勝戦に進出したのである。
今月8日に開幕したクラブW杯は、6大陸の王者と開催国代表の鹿島がトーナメントで頂点を争う大会だ。もっとも、条件は平等ではない。実力でまさる欧州と南米の王者が準決勝から出場する一方で、鹿島は3試合に勝利しないと準決勝へ辿り着けない。
しかも、その3試合は1週間以内に組まれている。もっと言えば、クラブW杯の出場権を得るために、鹿島は11月末からJリーグのチャンピオンシップを3試合戦ってきた。日本で戦えるのは大きなメリットでも、およそ3週間で6試合を消化するスケジュールは過酷である。
これまでクラブW杯に出場したJリーグ勢も、ハードスケジュールに苦しめられてきた。07年に浦和レッズ、08年にガンバ大阪、11年に柏レイソル、15年にサンフレッチェ広島が準決勝まで勝ち上がったものの、欧州や南米の壁を越えることはできなかった。クラブW杯初出場で決勝進出を果たした鹿島の戦いぶりが、「歴史的」と評価されるのはそのためだ。
初めて導入された『ビデオ』判定がアシスト
鹿島の歴史的な勝利には、思いがけない“アシスト”もあった。ワールドカップなどに先駆けて、サッカーでは初めて導入された『ビデオ・アシスタント・レフェリーズ(VARS)』である。
準決勝の33分だった。フリーキックに飛び込んだ鹿島の選手がペナルティエリア内で倒されたものの、そのままプレーは続いていく。試合が途切れたところで主審がビデオを確認し、鹿島にPKが与えられたのである。
サッカーには「アドバンテージ」というルールがある。反則があってもボールを保持するチームに状況が有利であれば、主審の判断でゲームを止めない。スピーディな試合展開を担保するためで、VARSには試合の流れが削がれてしまうとの危惧がある。ただ、この場面で明らかなファウルがあったのは事実だ。「誤審もまたサッカーの一部など」とも言われるが、主審や副審の目視だけではすくい取れなかった反則が試合に反映されるのは、決して悪いことではないだろう。
勝利に相応しかった、鹿島のプレー
いずれにせよ、鹿島の戦いぶりが勝利に相応しかったのは事実だ。とりわけ、決定的なシュートをことごとく防いだGK曽ヶ端準のプレーは高く評価されていい。また、日本人を中心としたメンバー編成であることも見逃せない。助っ人外国人に頼らずに勝ち上がってきたことも、実は「歴史的」なのである。
決勝はCロナ擁するレアル・マドリードとの対戦が有力か
15日夜の準決勝第2戦には、欧州王者のレアル・マドリード(スペイン)が登場する。ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドらを擁する世界屈指のスター軍団が、クラブ・アメリカ(メキシコ)を実力どおりに退ければ──18日の決勝戦は鹿島対レアルだ。
2002年の日韓W杯で決勝の舞台となった横浜国際総合競技場で、Jリーグのクラブがレアルと真剣勝負を戦う。考えただけでもゾクゾクする。「歴史的」な一戦の実現が期待される。
【関連記事】