サプライズで篠山さんが来場者の前で作品について解説
1月4日(水)、横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)で企画展「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」が開幕した。開会式には写真家 篠山紀信さんが来館、自ら写真の前で解説し、撮影時のエピソードを披露するという“お年玉”タイムも。
同展は、篠山さんの50余年のキャリアの中から、自身が選んだ写真を紹介する展覧会で、2012年の開幕から全国25ヵ所を巡回し、75万人超を動員している。関東圏では、2012年の東京、2013年の群馬以来となる。
今回は、篠山さん自身が選んだ約120点の作品を、「GOD─鬼籍に入られた人々」「STAR─すべての人々に知られる有名人」「SPECTACLE─私たちを異次元に連れ出す夢の世界」「BODY─裸の肉体─美とエロスと闘い」「ACCIDENTS─2011年3月11日─東日本大震災で被災された人々の肖像」という5つのセクションに分けて展示する。
同展のための特別セレクションとして、横浜出身の女優・草笛光子や横浜赤レンガ倉庫前の小池栄子、ミュージシャン・ゆずなどが新たに加わっている。
「美術館は“写真の死体置き場”だ、と言っていたのですが……」
開会式で篠山さんは、「美術館というのは、小さい写真を額に入れて、ありがたく鑑賞する、“写真の死体置き場”だ、とずっと言っていたのですが……。2012年、初めて熊本市現代美術館から話がきて、考え直してみました。ものすごく力のある写真を、美術館という非日常的な空間に、バーンと置いたらどうなるだろうと。じゃあ、力のある写真とは何だろうかと考えた時に、人間、それも、みんなが知っている有名人じゃないかと。その人の顔を見れば、その時代のことを思い出すような。『あの写真にはお世話になったな』とか(笑)。この展覧会は、鑑賞ではなく、体感。美術館の空間力と強烈なインパクトのある写真力のバトルを、ぜひ体感してください」と挨拶した。
「全部、写真の神様が降りてきた作品ばかり」
中でも、高さ3m×幅4.5mの大画面でみる、輝く水面にまどろむ山口百恵、長さ約9mに渡って展開する後藤久美子のメルヘンの世界、8×10のカメラ3台で撮影した1000人超が並ぶ力士たち、被災から2ヵ月後経った人々を撮影したポートレートは、大きさだけでなく、その写真力の凄みを感じる。
「全部、写真の神様が降りてきた作品ばかり」と篠山さん。半世紀にわたる膨大な写真の中から厳選された作品をぜひ体感してみては。同展は2月28日(火)まで。
初の試み「全館写真展」&コレクション展史上最多400点超展示
同時開催の「コレクション展 2016年度第3期」でも、全室で写真を中心に展示を行っており、「全館写真展」ともいうべき、横浜美術館開館以来初の試みとなっている。 昭和を生きた人々や風景を写した作品など展示総数400点超で、コレクション展史上最多数の展示となる。
篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE BY KISHIN
期間:2017年1月4日(水)~2月28日(火)
場所:横浜美術館
開館時間:10:00~18:00 ※2月23日(木)は16:00まで、2月24日(金)は20:30まで
休館日:木曜日 ※2月23日は開館
入館料:一般 1500円、大学、高校生900円、中学生600円、小学生以下無料
※毎週土曜日は高校生以下無料
※「篠山紀信展」の鑑賞券で、当日に限り「コレクション展」も鑑賞可
URL:http://kishin-yokohama.com/