梅毒の感染広がる…2016年の患者数が4000人超え どのような病気か

国立感染症研究所は6日、11月27日までに報告された梅毒の患者数が4077人になったと発表した。過去の病気とされていた梅毒だが、一体どのような病気なのだろうか。専門家が解説している。

国立感染症研究所は6日、11月27日までに報告された梅毒の患者数が4077人になったと発表した。2016年は概数で2,697人となっており、大幅に上回っている。同研究所の報告では、2010年以降、梅毒の報告数は増加傾向に転じているという。なお、同年の患者数は621人で今年は6倍以上の患者数がいることになる。

 

過去の病気とされていた梅毒だが、一体どのような病気なのだろうか。All Aboutの専門家が以下のように解説している。

   

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梅毒とは?

性感染症内科医師の内田千秋氏は『昔の病気だった「梅毒」が若者の間で急増中!』で、梅毒は、梅毒トレポネーマによる感染症で、主に性行為や類似行為により感染する性病だと説明する。

  

「日本では、第二次世界大戦後の1955年に大流行がみられ、その後も一時的な流行はありましたが、現在では過去の病気として、梅毒を診療したことのある先生も少なくなってきていました」(内田氏)

   

梅毒の感染経路は?

日本産婦人科学会専門医である清水なほみ氏が『梅毒の症状、原因、治療法』で感染経路や症状について説明する。それによると、梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies pallidum、以下T.p.)という細菌が皮膚や粘膜の小さな傷から侵入する事で感染し、傷から入ったT.p.は血液に乗って全身に広がり、皮膚や内臓に様々な症状を引き起こすという。

  

なお、妊娠中に母体が梅毒に感染していると、赤ちゃんが「先天性梅毒」になる危険性があるが、最近は妊娠初期に行う採血で必ず梅毒の感染の有無を調べるため、先天性梅毒もほとんどみられないと清水氏は説明する。

  

梅毒の症状は?

清水氏によると、梅毒は第1期から第4期まで、感染からの時間とともに症状の出方が変化していくという。

 

■ 第1期

感染から約3週間後に、原因となるT.p.が侵入した局所に、小豆大~そら豆大の軟骨のようにコリコリしたしこりが出現する。これを初期硬結と言うと清水氏は説明する。初期硬結はだんだん周囲に広がって硬くなり、中心に潰瘍ができて「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼ばれるできものになる。いずれも痛みなどの自覚症状はなく、男性では陰茎、女性では小陰唇や大陰唇に発生することがほとんどと清水氏は述べている。

 

しこりができてしばらくすると、足の付け根のリンパ節が腫れてくるが、押さえても痛みがないのが特徴だという。これらの症状は放置しても2~3週間で自然に消えて、約3ヵ月後に第2期の症状が出るまで無症状となるため、「全く無症状で梅毒に感染した状態を保っている時期が存在することになります」と清水氏は述べている。

 

■ 第2期

T.p.が血液に乗って全身にばら撒かれた状態。感染から約3ヵ月後に、様々な性質・状態の発疹が全身に出現するという。

 

■ 第3、4期

3期は、感染から3年以上経って、皮下にゴム状の腫瘍ができてくることがある。4期は、梅毒による血管の炎症や神経の障害による進行性の麻痺などが現れる。現在、第3~4期梅毒を見ることはほとんどない。

      

梅毒の治療とは

ペニシリンを服用することで、初期の梅毒は完治すると内田氏は述べている。薬を服用する期間は、初期の梅毒感染の場合は2~4週間、中期の梅毒感染の場合は、8週間~12週間が必要になるという。

 

梅毒の予防法

清水氏は予防法として、「コンドームを初めから毎回正しく使うことが最も有効」としている。また梅毒に感染しているとHIVへの感染率が高くなり、またHIVに感染している人は梅毒にもかかりやすいため、どちらかへの感染が確認されたら必ずもう片方の検査もしておいた方がベターだと述べている。

 

【関連リンク】

梅毒の症状、原因、治療法

昔の病気だった「梅毒」が若者の間で急増中!

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