福岡市博多区でタクシー(先代の30プリウス)が病院に突っ込み死傷者が出るという暴走事故。逮捕された64歳の運転手が「ブレーキが利かず、エンジンブレーキも掛けたが止まらなかった」と供述していることから、一部ユーザーの中ではプリウスのブレーキに対して不安が上がっているという。

  

多発するブレーキとアクセルの踏み間違い事故

今回の事故原因は、イベントデータレコーダー(EDR)も解析しているとのことなので、警察の調べを待てば分かることだろう。報道を見ている限り、ブレーキとアクセルの踏み間違いが濃厚のような気がするが、ほかにもフロアマットがアクセルペダルに挟まる可能性もゼロでなさそう。

  

伝えられている供述でひとつ引っかかるのは、減速時にエンジンブレーキを掛けたという点。どれくらいの速度が出ていたのか分からないが、急な下り坂ではなかったようなので、平坦路で停止を期待するのは難しい。さらに、「エンジンブレーキを掛けた」とする操作は、プリウスの場合、Dレンジからシフトセレクターを左下に入れるという操作が必要で、果たしてそんな余裕があったか疑問が残る。

  

また、サイドブレーキ(足踏み式)を掛けなかったのか? と指摘する向きもあるが、どれくらいの速度が出ていたか分からないものの、サイドブレーキで停止させるのは無理だし、大幅な減速もあまり期待できない。今回の事故は、現時点では「ブレーキを間違ってアクセルを踏み続けた」ように推察できるが、警察による事故原因の結果が発表されるのが待たれるところだ。

   

以前問題になった「プリウスのブレーキ」の今

とはいえ、プリウスのブレーキは以前に問題になったことがあるだけに、気になる人もいるかもしれない。

  

プリウス、プリウスPHV、SAIは、日本では2010年2月にリコール(ABSの制御プログラムが不適切で、ABS作動完了後の制動力が作動直前の制動力より低下する可能性があることからリコールに)を出しているが、今回の事故ではブレーキを掛けた痕跡もなさそうとのことで、ABSの出番さえなかったのではないだろうか。それにリコールによりABSの問題はクリアされたと考えるのが自然だ。

  

ほかにも、日本でも、2009年にプリウスでブレーキが利かなかったとドライバーが証言する事故があったが、警察はイベントデータレコーダー(EDR)の解析でブレーキに異常はなかったとしている。

  

また、アメリカではプリウスでは、第三者機関の調査で「暴走」すると問題視された電子制御に問題はなく、政治的にトヨタが犠牲になったと見る向きが多い。

  

待たれる「衝突回避・被害軽減ブレーキ」の装備

今回の福岡での痛ましい事故だが、状況は分からないという条件がもちろん付くが「衝突回避・被害軽減ブレーキ」が付いていれば、少なくても被害を軽減できたのでは? という見方が妥当だろう。

  

かつてABSは標準装備ではなくオプションだった時代もあったが、現在は横滑り防止装置とともに義務化されている。対歩行者も含めた先進安全装備の義務化は、ユーザーにとっては車両価格に跳ね返ってくるものの、早く義務化の道筋を国交省が示す時が来ているのは間違いない。

 

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