金融機関の口座で10年以上放置されている「休眠預金」を民間公益活動の財源にする法律「休眠預金活用法」が、2日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立した。
時事通信などによると、毎年500億~600億円が子どもの貧困対策や若者支援、福祉、地域活性化などに活用されることになるという。公布後1年半以内に全面施行される。
法案成立により、もしかしたら何年も使っていない休眠(睡眠)扱いとなった銀行口座が身近にもあるかもしれない…と気になった方もいるかもしれない。一体休眠口座とはどのような定義があるのか、また、その解約方法についてファイナンシャル・プランナーの坂本綾子氏が『銀行の休眠(睡眠)口座とは?解約方法のポイント』で解説している。
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休眠口座とは?いつから「休眠」になる?
坂本氏によると、使われていない口座を、どの時点で休眠扱いにするかは銀行により、また商品により違ってくるという。
「口座とひと口に言っても、普通預金口座、定期預金口座、総合口座などがあり、休眠口座の扱いは口座単位で判断する銀行が多いようです」
坂本氏によると、休眠扱いになる目安は、取引がなくなってから、5年または10年。理由は、預金者は銀行に対して債権(預金を返してもらう権利)をもっているが、法律では、銀行は5年間、信用金庫などの協同組合は10年間、権利を行使しないと時効が成立し、権利が消滅すると定められているからだという。
なお、全国銀行協会では自主ルールとして、10年、20年経過した預金であっても払戻しに応じるとしている。つまり、多くの銀行で、いったん休眠(睡眠)扱いになった預金でも、引き出すことができる。なお、民営化前の郵便貯金と、独自のルールがあるりそな銀行は例外なので確認したい。
休眠(睡眠)口座を解約するには?
解約に必要なのは、登録の印鑑、通帳、本人確認書類。引っ越しで住所が変わった、結婚で姓が変わった人は、銀行によっては証明する公的な書類が必要な場合もあるという。
印鑑や通帳を失くした場合は、口座番号や支店名などから調べてもらい、本人の預金であることが確認できれば、対応してもらえる銀行もある。手続きは、銀行の支店窓口で行う。
なお、いったん休眠口座の扱いになっていても、引きだしの際には、休眠口座にならなかったとして金利が計算され、利子がつくケースがほとんどだそうだ。
口座のある銀行の最寄りの支店へ
以前は、銀行口座を解約するには、口座のある支店に出向く必要があったが、どの支店でも対応している銀行が増えているという。最寄りの支店に行って、解約や引出を申し出れば対応してもらえる。
また、転勤などにより、住所が変わり、解約したい銀行の支店が近くにない場合は、現在、口座を持って利用している銀行から取り立ててもらうことも可能だと坂本氏は説明する。ただし、この方法では書類を郵送するための書留料金など実費を支払う必要があるという。
引っ越ししたら必ず住所変更を
坂本氏は、休眠口座になることを防ぐための注意点を3つ挙げている。
- 使わなくなった口座は速やかに解約する
- 引っ越しをしたら必ず住所変更届を出す
- 銀行口座は使いこなせる数に絞り込む
「毎日せっせと節約をする一方で、うっかり忘れて休眠口座にしてしまい、自分のお金を失くしたら、残念ですね。忘れている口座がないか、一度、確認してみましょう」
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