「自動ブレーキ」のテスト結果公表 踏み間違い事故防止につながるか

ブレーキとアクセルの踏み間違いなどの事故を起こすのは高齢者に限ったことではないが、高齢ドライバーによる重大な交通事故が相次いでいることから社会問題化している。こうした事故を防ぐ大きな一助と期待されるのが、通称「自動ブレーキ」。これからどうなる?

ブレーキとアクセルの踏み間違いなどの事故を起こすのは高齢者に限ったことではないが、高齢ドライバーによる重大な交通事故が相次いでいることから社会問題化している。こうした事故を防ぐ大きな一助と期待されるのが、通称「自動ブレーキ」。国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構による「予防安全アセスメント」の2016年度評価が公表され、今年度から衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)も盛り込まれている。

 

正確には「自動ブレーキ」ではない

いきなり脱線するが、自動ブレーキという通称は、たとえ時速何キロ出ていようが「自動で止まる」ように受け取られる可能性があり誤解を生みやすい。正確には衝突被害軽減ブレーキ(衝突回避・被害軽減ブレーキ)というべきで、一部の自動車メーカーがCMなどで「自動ブレーキ」を連発するのは見識があるとは言いがたい。

  

どのようなテストが実施されたのか

さて、本題に戻ろう。国交省と独立行政法人の自動車事故対策機構(NASVA)が行っている「2016年度予防安全性能アセスメント」という第三者機関による安全性能テストがある。「JNCAP」とも呼ばれているものだ。

  

2016年度の予防安全性能アセスメントは、2015年度の評価対象であった対歩行者の「衝突被害軽減制動制御装置(被害軽減ブレーキのこと)、「車線逸脱警報装置(車線を逸脱しそうになると警報するシステム)」、後方視界情報提供装置に加えて、道路横断中の歩行者を模したターゲットに時速10キロ〜60キロで車両を接近させ、警報と被害軽減ブレーキの作動状況を評価するという試験が加わった。つまり、対車両に加えて、対歩行者もテストに加わったことになる。

  

高齢になった親に乗ってもらいたい自動ブレーキ搭載車

このテストで最高評価を獲得すると、「ASV++(エーエスブイ ダブルダブル)」というステッカーが車両に貼られる。詳しいテスト結果は、下記のJNCAPホームページを参照してほしいが、トップランクである「ASV++」を獲得した車種を挙げておこう。

  • スズキ:イグニス
  • スバル:インプレッサ、フォレスター、レヴォーグ、レガシィ
  • レクサス:GS、RX
  • トヨタ:クラウン、プリウス
  • ホンダ:フリード
  • マツダ:アクセラ
アクセラ
最高ランクの「ASV++」の中でも25点満点中最高となる24.5点を記録したマツダ・アクセラ。センサー方式はミリ波レーダーと単眼カメラになる

  

2016年12月1日に公開された2016年度の「予防安全アセスメント」は前期分で、後期分は後日また公開されることになる。また、今回評価された上記の11車種はすべて総合評価で最高ランクの「ASV++(最高ランク)」を獲得しているが、対歩行者自動ブレーキについては、マツダ・アクセラが最高24.5点(25点満点)を記録している。

  

イグニス
コンパクトカーのスズキ・イグニスも「ASV++」を獲得。対歩行者の衝突被害軽減ブレーキは、コンパクトカーやダイハツ・タントなど軽自動車にも採用され始めている

  

なお、JNCAPのホームページによると、テスト車両の車種は「販売台数を考慮して、学識経験者やユーザー代表者などから構成される自動車アセスメント評価検討会で公正に選定される」とある。

  

歩行者に対応する衝突被害軽減ブレーキはもちろん万全ではない。しかし、「付いていれば防げた」あるいは「死亡事故にはならずに済んだ」というケースも十分に考えられるだけに、クルマ選びの参考になるのではないだろうか。

  

<外部リンク>

■JNCAP

http://www.nasva.go.jp/mamoru/

先代プリウス
トヨタは「Toyota Safety Sense P」で対歩行者の衝突被害軽減ブレーキを実現している。※写真は先代プリウス

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