エチオピアのアディスアベバで開催されているユネスコ無形文化遺産保護条約の政府間委員会で1日(現地時間11月30日)、日本が提案していた「山・鉾・屋台行事」が無形文化遺産に登録されることが決まった。国内の無形文化遺産は能楽や歌舞伎、和紙(2014年登録)などに続き、計21件になる。

 

「山・鉾・屋台」は、地域社会の安泰や災厄防除を願い、地域の人々が一体となり執り行う全国18府県の祭礼行事計33件(記事末の表参照)で構成されている。

無形文化財
、提灯で飾られた犬山祭の車山。この行事も無形文化遺産となった。

そもそも、ユネスコの無形文化遺産とはどのようなものなのだろうか。世界遺産ライターの長谷川大氏がAll Aboutの『無形文化遺産とは』で解説している。

 

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無形文化遺産保護条約とは?

無形文化遺産保護条約について、長谷川氏は以下のような説明をしている。

「世界遺産のように形として残る文化遺産の他に、音楽や舞踊・劇・祭・芸能・工芸技術・料理術のように形に残らない文化遺産がある。人づてに伝承されるこうした無形の文化遺産の保護を目的としているのが無形文化遺産保護条約だ」

長谷川氏によると、世界遺産条約が普遍的価値を持つ物件を「世界遺産リスト」に掲載しているのと同様、無形文化遺産保護条約でも下記ふたつのリスト化が行われているという。

  • 代表リスト(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)
  • 緊急保護リスト(緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表)

また、上記に加え、条約の精神に則った無形文化遺産保護の最良の実例をベスト・プラクティストという形で選定しており、こちらもリスト化されている。

  

世界遺産との違いは?

無形文化遺産と世界遺産の違いは、長谷川氏は以下のポイントを挙げている。

  • 世界遺産が普遍的価値の質・内容を問うのに対し、無形文化遺産の価値は基本的に問わない
  • 書類審査のみで現地調査は行わない
  • 決定は記載・情報照会・不記載の3区分で、不記載の場合は4年間再審査不可
  • 代表リスト・緊急保護リスト、いずれか一方のみの掲載

「価値を問わない理由は、無形文化遺産が地域に深く根ざしたものであり、その価値に大小はないと考えられているからだ。そのため条約が示す条件さえ満たせば基本的にリストへの記載が認められる。あくまで『代表的な一覧表』なのだ。

  

また、有形の文化遺産であればピラミッドやストーンヘンジのように滅んだ文明の遺跡であっても保護できるが、人づてに伝わる無形文化遺産の場合、一度失われたら再現・再興がとても難しい。そのため世界遺産では「不記載」決定を受けると再推薦はできないが、無形文化遺産は5年目以降であれば再推薦が可能だ。

    

緊急保護リストについて、世界遺産の危機遺産リストが世界遺産リストの中から選ばれるのに対して、無形文化遺産では登録される際にどちらか一方のリストを選ばなければならない」

   

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なお、今回登録された「山・鉾・屋台行事」を構成する祭礼行事33件は以下の通り。

  

山・鉾・屋台行事
八戸三社大祭の山車行事 青森県八戸市
角館祭りのやま行事 秋田県仙北市
土崎神明社祭の曳山行事 同県秋田市
花輪祭の屋台行事 同県鹿角市
新庄まつりの山車行事 山形県新庄市
日立風流物 茨城県日立市
烏山の山あげ行事 栃木県那須烏山市
鹿沼今宮神社祭の屋台行事 同県鹿沼市
秩父祭の屋台行事と神楽 埼玉県秩父市
川越氷川祭の山車行事 同県川越市
佐原の山車行事 千葉県香取市
高岡御車山祭の御車山行事 富山県高岡市
魚津のタテモン行事 同県魚津市
城端神明宮祭の曳山行事 同県南砺市
青柏祭の曳山行事 石川県七尾市
高山祭の屋台行事 岐阜県高山市
古川祭の起し太鼓・屋台行事 同県飛騨市
大垣祭のやま(車へんに山)行事 同県大垣市
尾張津島天王祭の車楽舟行事 愛知県津島市・愛西市
知立の山車文楽とからくり 同県知立市
犬山祭の車山行事 同県犬山市
亀崎潮干祭の山車行事 同県半田市
須成祭の車楽船行事流し 同県蟹江町
鳥出神社の鯨船行事 三重県四日市市
上野天神祭のダンジリ行事 同県伊賀市
桑名石取祭の祭車行事 同県桑名市
長浜曳山祭の曳山行事 滋賀県長浜市
京都祇園祭の山鉾行事 京都府京都市
博多祇園山笠行事 福岡県福岡市
戸畑ぎ(祇の示がネ)園大山笠行事  同県北九州市
唐津くんちの曳山行事 佐賀県唐津市
八代妙見祭の神幸行事 熊本県八代市
日田祇園の曳山行事 大分県日田市

 

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