厚生労働省は25日、インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表した。同省によると、2016年の第46週(11月14日~20日)の感染症発生動向調査で、インフルエンザの定点当たり報告数が1.38(定点数は全国に約5,000ケ所、報告数は6,843)となったといい、流行開始の目安としている1.00を上回ったことから、流行シーズンに入ったと判断したという。流行入りは過去5年で最も早い。

  

インフルエンザの流行シーズンが始まったことを機に、改めて予防や重症化を防ぐ方法について確認し、家庭でできる対策は講じておきたい。これに関して、医学博士の清益功浩氏がAll Aboutで以下のように解説している。

  

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インフルエンザとは?

■症状

清益氏によると、インフルエンザは風邪と異なり、39℃以上の高熱が続き、咳、鼻水、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、嘔吐、下痢、腹痛が見られる感染症という。

  

■原因・感染経路

マスク
咳エチケットが感染拡大予防になる

原因はインフルエンザウイルスで、非常に感染力が強く、1人で身の回りの3人に感染させてしまうと清益氏は説明する。インフルエンザウイルスの遺伝子の変化が多いために、以前の抗体だけでは対応できないため、一度罹ったから大丈夫ではなく、何度も罹ってしまうのだという。

 

「インフルエンザウイルスはツバや痰などによって主に人から人に感染するので、感染経路を考えると、身近な対策が可能です。冬場は乾燥するために、ツバや痰が小さくなりやすく、飛散する距離が長くなり、感染する範囲が広くなることも考慮し、マスクや咳エチケットを守る等の感染拡大予防を心がけることが大切です」

 

日常生活での予防方法

規則正しい生活、バランスのよい食事、十分な睡眠で免疫力を高めることは重要であるほか、感染経路を遮断する意味で、以下の点も意識することが大事だと清益氏は述べている。

  • 手洗い(身の回りのものにウイルスが付着している可能性があるので、特に食事前の手洗いは大切。指と指の間もしっかりと石鹸で15秒かけて手を洗う)
  • うがい(粘膜を潤すためと付着したウイルスを減らすことができる)
  • マスク着用(ウイルス用マスクなら、口や鼻からの侵入を防ぎ、手で口や鼻を触るのを防いでくれる)

 

ワクチンによる予防方法

厚労省はインフルエンザワクチンの予防接種には、発症をある程度おさえ、重症化を予防する効果があるとして、接種を勧めている。清益氏によると、インフルエンザにはワクチンで予防する方法が2種類あるという。

  • 日本で現在使用できる不活化ワクチン(承認済み、任意で高齢者は助成あり)
  • 将来的に使用できるかもしれない生ワクチン(未承認、個人輸入)

不活化ワクチンの注意点としては、子どもへの効果は悪く、皮下注射であること、流行するタイプとワクチンのタイプが異なると、効果が落ちる点があるという。また1歳未満でのワクチンの効果は乏しいとされていると清益氏は説明する。

 

効果の期間は、1~2回で効果は約4ヶ月。また、ワクチンの効果が出てくるのに、2~4週間が必要という。毎年の流行時期は、インフルエンザAは12月下旬から2月上旬まで、インフルエンザBは2月~3月。

 

生ワクチンは鼻から弱毒ウイルスを摂取する方法で、子どもでの効果が高く、痛みもないという。また、流行するタイプとワクチンが異なっていても、効果が落ちにくく、多くは1回での効果は約1年。ただし、50歳以上では効果が良くないという。

  

薬による予防方法

抗インフルエンザ薬による予防方法もあるという。抗インフルエンザ薬に対する耐性インフルエンザの発生の懸念や、100%の予防効果ではないことから、主に重症化すると考えられる方に勧められていると清益氏は説明する。

 

予防投与の対象は、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族、または共同生活者である高齢者(65歳以上)や慢性呼吸器疾患、慢性心疾患患者らとなっている。

 

なお、抗インフルエンザ薬には、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)ラニナミビル(イナビル)の3種類が現在国内で認められているが、医療保険が使えないので、自費になってしまうという。

 

【参考書籍】

清益功浩著「咳事典 咳を科学する」医薬経済社

※マスクの正しい使い方、咳に効果のある食材などを紹介

 

【関連リンク】

インフルエンザの予防と治療(2016年~2017年シーズン)