広がる恐怖「人食いバクテリア」ってどんな病気?症状や治療法は?

国立感染症研究所によると、24日、「人食いバクテリア」と恐れられる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が13日までに442人に上ったことがわかった。

国立感染症研究所によると、「人食いバクテリア」と恐れられる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が13日までに442人に上ったことがわかった。過去最多だった2015年をすでに上回っている勢いで、東京、神奈川、兵庫、福岡、大坂、愛知、千葉など、首都圏を中心に広がっており、厚生労働省も注意を呼び掛けている。

 

高い致死率から「人食いバクテリア」と恐れられているが、いったいどのような病気なのだろうか。医学博士の清益功浩氏がAll Aboutの「人食いバクテリア以外も!身近な細菌で起こる重症の病」で次のように解説している。

 

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正式には「劇症型A群レンサ球菌感染症」、症状は?

清益氏によると、人食いバクテリア症は正式には「劇症型A群レンサ球菌感染症」と呼ばれ、突然発症し、進行が速い病気で、死亡率が約30%と言われている。なぜ劇症化するのかは不明だが、「A群レンサ球菌」という菌の一部が原因だと考えられているという。

  

「人食いバクテリア症の主な症状としては、手足の痛みと腫れ、発熱、血圧が低下しショック状態が見られます。さらに、発症から10時間以内に、

  • 手足の筋肉や脂肪などの組織が破壊されてしまう『組織壊死(そしきえし)』
  • 腎臓が機能低下する『急性腎不全』
  • 肺に液体が貯まり肺の機能が低下する『呼吸窮迫症候群』
  • 血液内に血栓が作られ、血小板や血液を固めるための凝固因子が減り、出血しやすくなってしまう『播種性血管内凝固症候群』

などを起こします。その結果、多くの臓器が機能低下または停止してしまう『多臓器不全』となり、死に至ることも多いとされています」

 

筋肉や脂肪などの組織が破壊されてしまうことから、いかにもバクテリア(細菌)がヒトを食べているように見えるため、「人食いバクテリア症」と呼ばれているという。

 

人食いバクテリア症、治療法と予防法は?

治療方法は、基本的にはレンサ球菌に対する抗菌薬を使用することになるという。

 

「ショックに対しては輸液や輸血を行います。また、レンサ球菌が存在する筋肉や脂肪は大量に破壊されてしまうため、腎への負担から腎不全になったり、血液が酸性に傾いてしまいます。そのため、破壊された組織を速やかに取り除く必要があります。もし破壊された部分が足であれば、足を切断する必要があるということです」

 

東京都感染症情報センターによると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、患者の傷口・創部への直接接触によって感染するため、傷を清潔に保ち、赤みや腫れ、痛み、発熱など、感染の兆候が見られた場合には、直ちに医療機関を受診することをすすめている。

  

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