マツダ・ロードスターといえばソフトトップのオープンカー。もちろん正解だが、リトラクタブルハードトップ(RFT)仕様も根強い人気があるという。日本はもちろん、アメリカでは耐候性、セキュリティの高い点が支持され、NDロードスターでもリトラクタブルハードトップを待っていた方も多いはずだ。
フルモデルチェンジを機に車名を変更したロードスターRF
11月10日に発表されたマツダ・ロードスターRF。12月22日の発売に先駆けて試乗する機会を得たが、生産前のモデルなのでドアミラーがボディ同色(生産モデルは黒)になるなど、一部仕様が異なっている。
車名をRHTからRFに変えた新型は、新たに美しさが自慢のファストバックスタイルと、それに伴ってリトラクタブルハードトップの格納方法も変更されている。ルーフの開閉やインパネのスイッチひとつ(長押し)で完了し、フロントルーフ、ミドルルーフ、バックウインドウ、リヤルーフがオーバーラップしながら美しく折りたたまれるのがポイント。
約13秒で優雅に自動開閉する
約13秒という世界最短クラスのルーフの開閉だが、単に速さだけを追求したのではないという。最後にリヤルーフが閉まる瞬間は、仕立てのいい和箪笥が最後の最後にゆっくりと自重でスッと閉まるような優雅な動きになっている。なお、10km/h以下なら走行しながら開閉が可能なので急な雨でも安心だ。
ルーフ、リヤスタイルだけでなくエンジンも異なっている。ソフトトップ仕様が131ps/150Nmの1.5Lに対し、ロードスターRFは158ps/200Nmの2.0Lを搭載。6MTもしくは6ATが組み合わされるのは同じ。
グレードにより異なるものの、約100kg増となるロードスターRFを首都高を中心に都心で走らせると、重量増でも1.5Lよりも動力性能に余裕を感じさせる。1.5Lほどパワーを使い切るシーンが少なく、アクセルの踏み込み量やMTだと変速頻度もやや少なくなりそう。
ロードスターらしい走りは健在
数センチ単位でコントロールできそうなライントレース性の高さ、胸のすくフットワークは健在で、ルーフを閉じていればまさにクーペ的な静かさを感じられる。オープンエアは時々楽しみたいけれど、快適性や防犯性などの面でソフトトップ仕様までは踏み切れないというニーズは確かに満たしそう。
試乗時があいにくの雨だったため、止みかけてからわずか5分ほど屋根を開けて走ってみた。フルオープンにはならず、ファストバックのピラーやルーフの一部が残る形状だけあって確かに「外から丸見え」という感覚ではない。これならプライバシーを残しながら、青天井ならではの開放感を満喫できそうだ。