国立感染症研究所によると、10月9日までの1週間に報告された患者数は1医療機関あたり1.33人で、前週比13%増となったという。過去10年で最多だった2011年に次ぐ多さで、1999年の調査開始以降で過去最多レベルになっているという。
患者が急増している自治体では、手洗いなどの予防策の徹底を呼び掛けるなど注意喚起を積極的に行っているが、マイコプラズマ肺炎とはいったいどのような病気なのか? 症状や治療法、注意したい合併症などについて、医学博士の清益功浩氏はAll Aboutで次のように解説している。
マイプラズマ肺炎の症状
マイコプラズマ肺炎は、細菌より小さく、ウイルスより大きく、細菌にもウイルスにもない性質を持つ微生物が気管や喉などの気道に感染し、主に気管から肺で増殖することが特徴。清益氏によると、乳幼児に感染した場合は風邪程度で済むが、学童期頃になると肺炎を起こしやすく、免疫力が強いほど肺炎になりやすいので、大人が感染した場合も肺炎になるという。主な症状は次のとおり。
- ノドの痛み
- 鼻水、鼻づまり
- 37℃程度の微熱から39℃以上の高熱
- 咳、痰のからむ咳(解熱しても1ヶ月近く続く症状)
- 喘息があると、喘息の悪化、喘鳴(ゼイゼイ・ゴロゴロ・ヒューヒューといった呼吸)
- 呼吸がしにくい呼吸困難
マイコプラズマ肺炎の診断と治療法は?
清益氏によると、ノドの奥をしっかりとこすってマイコプラズマ肺炎の菌の成分を検査する迅速検査があるといい、検査で陽性であれば、マイコプラズマ肺炎として治療した方が望ましいという。
治療には、マイコプラズマ肺炎に効く抗生剤を使用するが、最近では、一部の抗生剤が効かないマイコプラズマ肺炎も増えていると清益氏は述べている。8歳以下の子供に長期間使用すると、歯が黄色になったり、骨の発達に影響を受けると言われる抗生剤もあり、処方には注意が必要だが、効果のある抗生剤で3日程度使用すると、マイコプラズマはかなり減少し、感染力は低下するという。
マイコプラズマ肺炎で注意したい合併症
もともと気管支喘息がある場合には、マイコプラズマ肺炎によって喘息発作を引き起こすことが多いうえ、喘息で使用する気管支拡張薬であるテオフィリン(テオドール・テオロング・アミノフィリンなど)は、マイコプラズマ肺炎に効く抗生剤と相互作用を持つため、使用する前に注意が必要だと清益氏は解説している。
また、マイコプラズマ肺炎は肺炎だけでなく、時に脳炎や脳症、下痢や嘔吐などの消化器症状、肝炎、じんましん、多型滲出性紅斑などの発疹、心筋炎、赤血球が壊れる溶血性貧血など、さまざまな合併症をを起こすリスクもあるという。もし以下のような症状が出た場合は肝炎・脳炎・じんましん・多型滲出性紅斑などの可能性があるので、医療機関に受診した方がいいという。
- 黄疸
- 疲れやすいなどの易疲労感
- けいれん、意識がなくなる意識障害
- 盛り上がった赤い発疹、かゆみのある地図のような湿疹
マイコプラズマ肺炎は抗生剤で治るが、やはり予防が重要。特に流行している時期には人混みを避けて、十分な睡眠と栄養・うがい・手洗いで予防したい。
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