All About ニュース編集部は、2025年12月4日、奨学金の利用経験がある人を対象としたアンケート調査を実施。奨学金制度を利用したきっかけや返済にまつわる不安、現行制度への思いなどを聞きました。
今回は、長崎県在住・41歳男性のエピソードを紹介します。
回答者のプロフィール
回答者本人:41歳男性在住:長崎県
家族構成:独身(子なし)
住居形態:親族など他宅に同居
職業:パート・アルバイト
年収:200万円
現在の貯金額:なし
独立行政法人日本学生支援機構が発表した「令和5年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、奨学金の返済を延滞していない奨学生1414人のうち、年収300万円以下の割合は38.6%でした。
回答者の奨学金の状況
借りた奨学金の種類:貸与奨学金(返済必要)返済状況:完済
奨学金で利用した金額(総額):380万円
月々の返済額:2万円
完済までにかかった期間:17年程度
同機関が発表した「令和4年度学生生活調査結果」によると、大学では55%、短期大学では61%の学生が奨学金を利用中。それぞれ令和2年度に行われた前回調査よりも上昇しています。
「背に腹はかえられないという思いでした」
奨学金を利用した理由を聞くと「高校が私立の学校であり、自分が兄弟の中で一番上で下にもいましたので、当時の親の家計の状況等を鑑みて奨学金を申し込みました。自分たちとしてはやむを得ない感じであり、背に腹はかえられないという思いでした」と話してくれました。返済中にしんどいと感じたことについては、「無理のない金額で毎月支払っていくことを決めたので、返済がとにかく長期に及んだことがしんどかったです。特に返し始めは終わりが見えない時期だったので、気の遠くなる思いで毎月返済していたように記憶しています」と明かしています。
「高級取りでもないので、余裕は常にない」
また、「他のローンの返済等と同じく、毎月の収支を逐一チェックしつつ、無駄な支出は省くようにして返済分のお金を捻出していたように思います。高級取りでもないので、余裕は常にない状況の中頭を使って返済をしていく方針でした」と、計画的に返済したことについても話してくれました。奨学金制度については「不正利用には目を光らせる必要はありますが、奨学金という『学生の(家庭の)ための』制度なので、利息は基本的になくしたほうがいいと思っています。学校を出て、負債を抱えたマイナスの状態で社会人スタートというのはその後の人生設計に少なからず影響があると思います。少子化だなんだと騒ぐなら、こういったところからどうにかしていくべきかと」と、利息についての思いを明かしました。
長い年月をかけて返済と向き合ってきた回答者の言葉には、奨学金制度が抱える現実と、そこに向けられる切実な願いがにじんでいました。
※回答者のコメントは原文ママです



