子どもが発する不登校の“前兆”を、なぜ学校は見逃すのか。背景にある「昭和タイプ」の教員たち

子どもが不登校になる場合、突然そうなるのではありません。しかし、学校側はそのような前兆に気づかず、見過ごしてしまうことが多いのが現状です。不登校の背景にある学校側の要因について、保護者の証言をもとに考えます。(画像出典:PIXTA)

教員は忙しすぎる?

「先生もたいへんですよ。子どもたちが35人くらいもいるクラスを、ひとりでまとめなればいけないわけです。子ども一人ひとりに対応している時間もないだろうから、団体としてみるしかない。それを統制するには、怒鳴りたくなる気持ちもわからないではない」と言った保護者もいました。

厚生労働省の定めている過労死ラインを超える残業を強いられている教員も珍しくないのが現状です。そうしたなかで、子ども一人ひとりの個性を尊重して指導するのは難しく、「怖い存在」として子どもたちを従わせるような指導を優先してしまうのかもしれません。

教員のやることが増えるばかりの学校現場では、なおさら力ずくで子どもたちをおとなしくさせる傾向が強くなっているようにおもえます。

そのやり方が「昭和」であり、昭和という時代は終わったけれど、こと学校に関しては昭和が色濃く残っているということでしょうか。ある保護者は次のように言ったものです。

「私も昭和の時代に小学校に通いましたが、いまのほうが先生が子どもたちを抑えつける傾向は強くなっていると感じます。それこそ私たちが小学生や中学生だった時代より、さらにひと昔もふた昔も時代が戻っているような印象を受けます。それを実際に見たり聞いたりすると、さすがに子どもたちは窮屈だろうなと感じます。それで、うちの子も不登校になったんですけどね」

そんな教員は、わが子が不登校になって心配し、悩んでいる保護者の気持ちにまで考えがおよぶことはないのかもしれません。気にしてなどいられない、ともいえます。

「保護者は無視されている」と感じている保護者が少なくないことを、筆者は今回の取材でもあらためて感じました。

「うちの子が不登校になってから、クラスの担任から電話がありました。不登校を心配しての連絡ではなくて、『通知表が書けないんですけど』という用件でした。不登校ですから、ほかの子と同じ基準で通知表に記入できないのは当然です。さらには、『1がいいですか、それとも斜線にしておきますか』と訊いてくる。そんなもの、不登校の保護者にしてみれば、どっちでもいいんです」

白紙の通知表では、教員が仕事をしていないとみなされかねません。教員としては問題なので、なんらかのものを記入して済ませたいと考えます。もしも保護者に無断で「1」を記入すれば、「なんで、うちの子が1なんだ」とクレームをつけられる可能性もあります。

それを避けるためにも、保護者の意向を確認したかったのかもしれません。保護者にしてみれば、わが子のことを心配するよりも、自分の都合を優先しているように聞こえてしまいます。そんな教員を保護者が信用できるはずがありません。

実際に教員がどう考えての行動だったかは別にして、自分の言動が保護者の信頼を失うことにつながっている可能性を教員として考えてみるのは必要なことです。そういう気遣いができなければ保護者との信頼関係は築けないし、子どもの成長を協力して支援することもできないはずです。
学校が合わない子どもたち (青春新書インテリジェンス PI 721)
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この記事の執筆者:前屋 毅 プロフィール
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。最新刊『学校が合わない子どもたち~それは本当に子ども自身や親の育て方の問題なのか』(青春新書)など著書多数。
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