国立社会保障・人口問題研究所が15日に発表した「出生動向基本調査」(2015年)によると、夫婦が望む理想の子ども数の平均は2.32人(前回10年2.42人)、現実に予定している子ども数は2.01人(同2.07人)で、同質問を設けた1977年調査以来、いずれも最低となった。また、ほぼ子どもを産み終えた夫婦の平均出生数を示す「完結出生児数」も1.94人と最低を更新したことがわかった。
夫婦の予定子ども数が理想子ども数を下回る理由として最も多いのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」(56.3%)、次いで「高年齢で生むのはいやだから」(39.8%)という結果に。
子どもがほしいが産めない理由となっている「お金」の問題。子ども1人を育てるのに数千万円はかかるといわれているが、実際はどうなのか。All Aboutの専門家は次のように解説している。
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年齢が上がるごとにかかる費用は増加する
ファイナンシャルプランナーの福一由紀氏によれば、中学生までの第1子の年間子育て費用の平均額をみてみると、未就園児は年間84万円だが、中学生になると年間155万円に増加しており、倍近くの金額になるという。
月額換算すると未就園児では7万円であったのが、中学になると約13万円。中でも食費は年齢が上がるごとに増加しており、未就園児では年間16万円程度だったのが中学生では35万円になるというデータもあるという。
中学までの子育て費用は、計1740万円
上記の数字をもとに中学までの子育て費用の総額を計算してみると、概算で未就園児4年間で337万円、保育所・幼稚園児2年間で243万円、小学生6年間で692万円、中学生3年間466万円となり、これらの合計は約1740万円となると、福一氏は説明する。
ちなみにこれらの費用は、子どものための貯金も含まれていること、第1子の平均なのでやや高額になっていること、中学卒業までの15年間でかかる費用であり、一度に必要になるお金ではないことなどを考慮しておいてほしいと福一氏は述べている。
高校、大学の学費は進学先でかなり差が出る
高校3年間にかかる学習費をみてみると、公立高校の授業料無償化後、公立高校では123万円と負担が軽くなったが、平成26年4月以降の高校入学者からは新制度となり、所得制限が設けられている。一方、私立高校では299万円程度となり、進学先で差が出てくると福一氏は述べている。
大学生になると、教育費はさらに増加。4年間の学費の概算は、国立242万円、私立文系386万円、私立理系521万円とされているが、自宅通勤か下宿か、通う年数や学部によっても大きな差が出てくる。
子どもにかかるお金は合計2400万~3000万円
上記の数字を足し上げると大学卒業までの合計額はおよそ2000万~3000万円となる。福一氏によると、私立中学を受験する場合や、お稽古や塾、留学など、進路によってはさらに高額になることもあるというが、各家庭で無理のない範囲で公立か私立かなどを選びながら、子供の成長を支えたい。
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