女優でタレントの十勝花子(とかち・はなこ)さんが21日、大腸がんのため東京都文京区の病院で死去した。70歳だった。長女の服部令子さんがFacebookで「先月末、ステージ4の大腸ガンが発覚し、手術は出来ない程転移しており、治療しなければ余命6ヵ月と言うことでした。しかしながら本人は、ガンと戦い復活すると心に決め、抗ガン剤の投与を始めたところでした」と公表している。
十勝さんは発覚した時、すでに転移が進んでいたということだが、大腸がんはどのような症状が出て、転移はどのようにされてしまうのだろうか。医学博士の狭間研至氏がAll Aboutで以下のように解説している。
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大腸がんの初期症状のことも……便通異常には要注意
狭間氏によると、大腸がんは肺がんとともに、近年急速に増えつつある疾患という。この原因としては、我々の食事が、高線維・低脂肪の和食から、低線維・高脂肪の欧米食にシフトしていった結果とも言われていると狭間氏は説明する。一方、大腸がんは早期発見できれば、内視鏡手術でお腹を切らずに切除し、完治させることも可能という特徴を持つという。
狭間氏は、以下の大腸がんの初期症状チェックポイントを挙げる。
■ 下血と血便
下血(肛門からの出血)や血便(便に血液が付着)は、通常の状態では見られない症状。硬い便をしたあとの肛門の傷(裂肛)や、痔(外痔核、内痔核)、良性の大腸ポリープなどでも、このような症状は見られるが、大腸がんの初期症状にもあるという。
狭間氏によると、大腸がんによって下血や血便が見られる状態でも、自覚症状はほとんどないといい、「痛くもかゆくもないから」ということで放置せず、痔かどうかのチェックも含めて受診することを勧めている。
■ 繰り返す下痢と便秘
下痢や血便と異なり、下痢と便秘は一般的に見られる症状。食あたりや風邪、ストレスでも下痢や便秘はある。
しかし、これらを繰り返す場合には、大腸がんのチェックをしたほうがいいと狭間氏は述べる。便が細いという場合も要注意という。
検査は、まず便潜血の検査を行う。便の一部を専用のキットを用いて採取するだけで体に負担のない検査という。
大腸がんが進行すると
大腸がんの進行に伴って見られる症状には、局所の進展によるものと、他の臓器への転移によるものに分けることができるという。
■ 局所の進展による症状
大腸がんの場合、病状の進行に伴って腫瘍が大きくなり、大腸の通過障害(食べたものが大腸を通過できない状態)が起こるという。症状は、便秘、腹部の膨満、腹痛などが特徴。進行すると、完全閉塞を来たし、大腸がんの細胞が腹膜全体に広がる「がん性腹膜炎」によって、嘔吐や激しい腹痛など、腸閉塞(イレウス)を引き起こすと狭間氏は説明する。
■ 他臓器への転移による症状
大腸がんは、血液の流れから、肝臓、肺、脳に転移しやすいという。肝臓へ転移した場合、転移巣が小さければほとんど症状は出ないが、部位や進行の度合いによっては、黄疸が認められることがある。肺の転移では胸水が溜まることによる呼吸困難、脳の転移では頭痛や嘔気のほか、転移した部位に応じた神経学的な症状が認められるようになるという。
他のがんにも共通することとして、特に要因なく体重が減少したり、帯状疱疹(ヘルペス)を発症する場合には、何らかの悪性疾患の存在も疑われる。万一、このような兆候が出た場合は医療機関を受診するのが良さそうだ。
治癒率をあげるためには、早期発見・早期治療が重要になると狭間氏は述べている。早期発見のためには、初期症状に注意すると共に、年に1回の定期的な健康診断を受けられることを狭間氏は勧めている。
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